骨盤底機能と機能障害に対する理学療法

(240510配信)

骨盤底機能と腰椎・骨盤帯疼痛

城内 若菜

理学療法ジャーナルVol.58 No.3 2024.3 p285-292



【文献の要点】


・腰痛や骨盤帯疼痛の要因は様々で、生じる機能障害も異なるため、一人ひとりに応じた評価、治療が重要となる。

・骨盤底筋群は腰椎や仙腸関節の安定化に関与する。



【文献の基本構造】


 本稿では、まず、骨盤底筋群と腰椎、骨盤帯の関係について、腰椎や骨盤帯の安定化のためには骨盤底筋群の重要性を述べている。次に、腰痛や骨盤帯疼痛に対して、姿勢や動作、仙腸関節、体幹筋の評価方法、ポイントを解説し、実際の治療、アプローチについて、著者が経験した症例などから解説している。



【疼痛に対する評価と治療の実際】


〇評価


姿勢と動作分析

→症状が出現、困難な課題を把握し、活動や機能的目的と連携することが重要で、全身的に観察していく。


仙腸関節

→仙腸関節のストレステストやGaenslen’s test、自動下肢伸展挙上テストなど。また、仙腸関節の安定を担う多裂筋、梨状筋、尾骨筋の筋緊張のバランス、仙腸関節の可動性を評価する。


体幹筋

→腹部筋群の筋機能を評価。腹横筋や多裂筋、骨盤底筋群の筋収縮を確認する。自動下肢伸展挙上テストも体幹筋評価として用いられる。



〇治療


 腰部痛、骨盤帯疼痛に対する骨盤底筋トレーニングに十分なエビデンスが得られていないのが現状。しかし、骨盤底筋群の収縮練習を通常のプログラムに追加することで症状の改善が報告されており、評価を行い、骨盤底筋群の再学習が必要と判断した場合にトレーニングを実施することで効果が得られやすい。



【まとめ】


 腰痛は年齢や性別問わず多くの人が有している。また、骨盤帯疼痛は妊娠や変形性関節症などが関連して生じる。本稿でも、腰痛、骨盤帯疼痛と骨盤底筋機能との関連性ははっきりと分かっていないと述べられているが、骨盤底筋群は腰椎や仙腸関節の安定性に関与していることからも、評価を行い、必要性に応じて骨盤底筋群へのアプローチも有効であると考えられる。


記事:ながちゃん

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