介護予防領域でのリハビリテーションの現状と課題 

(221104配信)

介護予防領域でのリハビリテーションの現状と課題

大渕修一

総合リハビリテーション Vol.49 No.12 2021.12 pp1137-1144


Key word:予防、介護保険



今回の記事はこんな方にオススメ!


・高齢者へのリハビリテーションに興味のある方・従事している方

・介護予防に携わっている方

・セラピストとして介護予防への関わり方を探している方



皆さんは介護予防領域におけるリハビリテーションと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。運動による活動量増加、サルコペニア・フレイル予防、疾病予防などなど・・・様々な内容が出てくるかと思います。


ここでは、現在考えられている現状と課題について触れていきます。



【そもそも何故介護予防が必要か?】


介護予防を必要とされる背景には、超高齢社会に伴い老化による死亡率の上昇があり、健康課題が生活習慣病から老化に変化していることが挙げられます。疾病抑制の健康づくりでは現代の健康課題に対して限界があるということです。


この健康課題の変化を受け、介護予防は高齢者がいきいきとした生活を送れるように支援すること、要介護状態であっても重度化を予防することと示されました。つまり、高齢期のQOLの維持・向上が目的となります。



【身体機能維持・改善のために】


過去には老化は不可逆であるとされてきましたが、現在ではそれは覆され、90歳を超える高齢者でも筋力が増強したとの報告があり、その文献の著者は「老化と認識してきた身体機能低下は廃用症候群が主要因」と考察しています。


この報告を期に今では、運動が高齢期の生活機能低下に有効であることや、要介護悪化の抑制効果、更には健康的な生活習慣の獲得が生存時の障害リスクを下げることが示されているなど、エビデンスが蓄積されています。


このエビデンスを介護予防に活かすには、個人差が大きい高齢者に対し負荷の個別性が重要であることも考えられます。



【介護予防の社会実装】


 国は介護予防システムとして、地域づくりによる介護予防事業(通いの場事業)を開始しています。


これは自治体でなく住民が主体となって参加者を募り、介護予防で地域に貢献することが大切な部分です。この通いの場によって、地域の高齢者が元気な状態を維持しどのような結果になるのかは今後検討される部分とのことです。



【介護予防領域でのリハビリテーションの現状と課題】


●現状
介護予防領域でリハビリテーション専門職が関与できる基盤として、地域リハビリテーション活動支援事業が整備されています。この事業においては、リハビリテーション専門職に対しては、コミュニティに根差した介護予防活動の支援が望まれている部分です。



●課題
介護予防の一環として、就労的アクティビティへの取り組みはまだ行われていない部分です。就労に関しては現代の高齢者の生きがいになっていることが考えられ、同様に就労への意欲を持っている層も多いと考えられています。これが介護サービスを進んで受けない背景である可能性もあり、高齢者の就労支援も介護予防の一環とする発想の転換も今後必要になってくる。



【Impressions】


介護予防に関して見ていくと、フレイル・サルコペニアの予防に似ているように感じます。その中で大きなポイントがコミュニティづくりであるように感じました。


その地域でどのような通いの場があるのか、そこで何が行われているのか、そこまでどうやって行くのか、それらを我々セラピストが把握し参加に繋げることも支援の1つとなりそうですね。また、コーディネーターとして地域づくりへ関わることも興味深い内容です。



●明日からできること!


・地元の通いの場がどこにあるのか、どのようにアクセスするのか調べてみる



記事:テツ@永遠の若手理学療法士



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