高齢者の社会参加の種類・数と要介護認定発生の関連
―JAGES2013-2016縦断研究
東馬場要,井手一茂,渡邉良太,飯塚玄明,近藤克則
総合リハビリテーション Vol.49 No.9 2021.9 pp897-904
Key word:介護予防,地域づくり,地域組織,社会参加
・介護予防に興味のある方
この研究における新規性としては「先行研究では未検討の活動を含めた社会参加の種類・数」と要介護認定発生リスクについて検討している部分にあります。
先行研究では、社会参加の種類・数が多いほど要介護認定発生リスクが低いとされており、その検討項目については趣味やスポーツ関係、ボランティア、就労などが挙げられています。
今回検討されている項目は、新規に検討されるものを含め以下の14種類です。
①ボランティア、②スポーツ、③趣味、④老人クラブ、⑤町内会
⑥学習・教養サークル、⑦介護予防の活動、⑧特技を他者に伝える活動
⑨地域行事、⑩高齢者の支援、⑪高齢者の介護、⑫子育て支援、⑬地域の環境美化、⑭就労
次に結果を見てみましょう。
結果は大きく2点あり、以下の通りです。
●これまで報告のあった内容に加え、⑥学習・教養サークル(女性のみ)、⑧特技を他者に伝える活動(女性のみ)、⑬地域の環境美化(男女とも)への参加者の要介護認定発生リスクが優位に低い
●男女とも社会参加の数が増えるほど要介護認定発生リスクが優位に低い
本研究は多くの高齢者を対象にしており、より妥当性のある結果になっていると考えられています。
我々セラピストは患者・利用者に対して運動指導をしばしば行うと思います。では、社会参加について提案することについてはいかがでしょうか?
社会参加が多ければ多いほど介護認定発生リスクが低いということは、運動指導のみならず、社会参加を促すように何らかの働きかけを行うことも必要とされることが考えられます。担当の患者・利用者の生活習慣だけでなく、社会参加は何を行っているかを聴取し、個々に合いそうな活動を提案するという介入方法にも繋がりそうですね。
そのためにも周辺地域でどのような社会参加できる場があるのか、情報収集をしてみるのも面白そうです。
・担当患者・利用者の社会参加について聴取してみる!
・周辺地域での社会参加の場がどのようなものがあるのか、情報収集してみる!
文責:テツ@永遠の若手理学療法士