人工関節置換術後の歩行分析と理学療法 人工膝関節
井野 拓実 浮城 健吾 三浦 浩太
理学療法ジャーナルVol.56 No.7 2022.7 p772-778
・通常歩行における膝関節の関節運動、筋収縮
・上行性の運動連鎖
・人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty: TKA)
まず歩行における膝関節の関節運動、筋収縮について述べている。人工膝関節全置換術(以下、TKA)の歩行分析ではdouble knee action、前額面での上行性の運動連鎖のチェックがポイントとなる。次に立脚期と遊脚期のそれぞれに焦点を向けた理学療法アプローチを図(写真)と合わせ紹介、解説している。
立脚期、遊脚期とそれぞれのポイントを踏まえたエクササイズを紹介している。
〇立脚期
運動連鎖の再構築→スクワット、荷重練習など
CKCでの大腿四頭筋遠心性収縮エクササイズ
〇遊脚期
大腿部の適度な緊張の確保→下肢の振り子運動
遊脚期における膝関節屈曲運動の再獲得→立脚終期からの振り出し運動
まず、通常歩行における膝関節の関節運動や筋収縮、運動連鎖の理解が重要である。そこから、本稿でも述べられているTKA後の歩行分析のポイントをみることで、どんな運動や運動連鎖が破綻しているかが分かりやすくなる。
実際のエクササイズを紹介しているが、図(写真)と合わせて方法や運動のポイントを解説しており、臨床場面での活用、反映もイメージしやすいと考える。
しかし、本稿で紹介しているエクササイズは、TKA術後の炎症反応、疼痛、関節可動域や膝関節周囲の筋力など、膝関節の基本的な機能の回復を前提として紹介されている。
炎症や疼痛の助長、代償での動作など二次的な問題が生じかねない。そのためにも、膝関節機能の評価、術後の経過に合わせてエクササイズを選択する必要がある。
記事:ながちゃん