続発性骨折を予防するための理学療法の工夫 ホームエクササイズの指導
西田 直弥
理学療法ジャーナルVol.56 No.12
2022.12 p1444-1453
・脊椎圧迫骨折を受傷した方の多くは脊椎後彎姿勢、腸腰筋や大殿筋、腰方形筋などの機能低下を呈している。
・ホームエクササイズはセラピストの目が届かないため、代償動作が極力少なるような環境設定が必要である。
はじめに、脊椎圧迫骨折を受傷した方の姿勢や筋収縮の特徴を述べている。姿勢や筋収縮の特徴から、それらの機能改善するためのホームエクササイズを次に紹介している。臥位、座位、立位でのホームエクササイズ、みられやすい代償動作、代償動作を少なくするための工夫を合わせて解説している。
〇臥位
:脊柱の側屈や回旋に対してタオルなどで中間位へ誘導するなど、脊柱のアライメントに注意する。
〇座位
:骨盤後傾位となりやすい。坐骨下へのタオルで骨盤前傾を促すなど、骨盤前傾位へ誘導、骨盤を安定させること。
〇立位
:足底二点識別覚が低下すると報告がある。足底の荷重するポイントを意識させながらの立位exを実施する。
ホームエクササイズの指導については、本稿でも述べられているように、代償動作を抑える、簡単で効率的に行えるといった点が重要となると考える。
また、脊椎圧迫骨折の症例に限らず、ホームエクササイズの指導・実施においては、自己流となってしまうこと、継続できていない、意欲が出ないといった問題もあると、自分自身の臨床での経験からも言える。自己流とならないためにも、代償動作を極力少なくできるような運動内容、環境調整が必要と考える。
継続できない、意欲が出ないといった場合には、難易度や運動量の調整、日常生活内の動作を運動と繋げて考えることが必要ではないか。運動をする時間と決めず、例えば、テレビのCM間だけでも実施してみましょうなどと提案してみる。
運動が高いハードルとならないような工夫をしたい。身体機能はもちろん、性格なども考慮した上で、簡単で効率よく行えるような工夫をし、ホームエクササイズの提案、指導を行いたい。
記事:ながちゃん