フレイルと栄養
高田和子
理学療法37巻3号 2020年3月P277-2282
理学療法士に必要な栄養学の知識として連載企画である.
文献の構造
フレイルとサルコペニアの定義の説明から,運動と低栄養の関係,食事量・栄養素の管理の流れで書かれている.
図は少ないものの,ガイドラインの抜粋や低栄養のリスクチェック−対応一覧等の表が充実している.
栄養状態の管理ができていない状態での運動介入は効果が低い
・握力や脚力は改善する
・血中総タンパク質,アルブミン,ヘマトクリット,ヘモグロビン減少が見られた
今までに多く見られた栄養に関するジャーナルとの違い
何カロリーの食事を食べるのか?何を食べるのか?だけでなく,食形態,買い物や料理等の内容に対して他職種で介入する必要性を強く書かれている.
・脳卒中回復期(65歳以上)
低栄養→低栄養 MNA-SF:0〜7変わらず
低栄養→低栄養の恐れ MNA-SF:0〜7 → 8~11
低栄養→栄養状態良好 MNA-SF:0〜7 → 12~14
:FIMの改善度は栄養状態に深く関係する.血清アルブミンとBMIの評価でも同様の結果
低栄養のままで運動介入を行う事は,リハビリテーションの効果は低い事が示唆される.栄養状態改善群でのFIMは2倍以上の効率である事は,栄養と運動の関係性が見られ,今後も研究は盛んになされると考えられる.
・リハビリテーションとフレイル予防
BMIの低値の時期,健康な方に比べてエネルギー消費が大きい,食事量と栄養素の食品からの摂取が重要
:BMIの低値が,若い頃からの状態なのか?疾病のタイミングからの低BMIになったのか?等,考えたらわかるものの,見落としてしまいがちな注意点が書かれており忘れてはならない内容なので再確認して欲しいと思う.
フレイルやサルコペニア,リハ栄養と言う言葉が世に出て浸透してきている実感がある.そこから現場の療法士に何ができるのか?
運動だけ担当と決めつけず,買い物の方法は介入できる等,療法士に求められる部分は非常に大きくなると思う.一人の患者・利用者に対して,自分の専門分野で力を発揮しつつ,運動負荷という視点でアルブミンや栄養状態を他職種で考えられる視点が当たり前になる必要性は非常に高いと感じた.
記事:ひわ