脳性麻痺の歩行分析

(20200624配信)

脳性麻痺の歩行分析

伊藤忠

CLINICAL REHABILITATION 臨床リハ Vol.29 No.6 2020年6月 P514-519

●内容要約

脳性麻痺は中枢神経障害により歩行障害を引き起こす.

本稿は脳性麻痺児の歩行分析についてその特徴,臨床での注目すべきポイントを簡潔に述べている.

1.脳性麻痺の代表的な異常歩行と特徴

脳性麻痺児の異常歩行には主として,かがみ歩行,こわばり膝歩行,反張膝歩行,ジャンプ歩行に分類される.本稿では定義に基づいた各歩行の様子,矢状面関節のキネマティクスのグラフ,図,動画で詳細に記載される.

かがみ歩行は立脚期中に膝関節屈曲位で過度な足関節の背屈も特徴である.またかがみ歩行の定義についても軽度,中等度,重度,について先行研究より記載.

こわばり膝歩行は遊脚期の最大屈曲45度未満で遊脚期の動的膝関節可動域が減少したものと定義.またかがみ歩行とも合わさり視覚的に分類することは容易でない.

反張膝歩行は立脚中期,後期の膝関節過伸展が特徴.それに加え,5度以上の過伸展を有すると定義.


ジャンプ歩行は立脚初期,遊脚終期で膝関節過屈曲,立脚終期でわずかに伸展するのみで最大伸展位にならない,立脚初期で股関節過屈曲,立脚終期で足関節尖足となる.また正常範囲内での骨盤前傾も特徴である.

内旋歩行は股関節過内旋,下腿内旋位による歩行.ただし,外反扁平足により内旋歩行が軽減されることがあり,骨盤回旋異常もみられる.

2.臨床での注目ポイント

かがみ歩行では腸腰筋,ハムストリングの痙縮が関係.次にこわばり歩行は大腿直筋の痙縮による膝関節屈曲の困難が躓きやすく、エネルギー効率の悪化に繋がる.

反張膝歩行は下腿三頭筋の痙縮により足底接地で膝伸展する.

ジャンプ歩行はこわばり膝に加え,立脚終期で下腿三頭筋痙縮による尖足が生じる.

最後に内旋歩行の原因は内側ハムストリングの痙縮から大腿骨の過大前捻角へと移行する.


また三次元歩行分析データから歩行の特徴を判断するには困難なこともあり、臨床では,Roddaの分類に基づき作られたplantar flexor-knee extension couple index(PFKE)を使用することも有用だ.

3.各歩行パターンのメカニズム

かがみ歩行の立脚期では大腿四頭筋の持続的筋活動により消費エネルギーが大きいことに加え,ハムストリングの痙縮及び拘縮,そして股関節と膝関節伸展筋群,足関節底屈筋群の筋力低下が関係する.

こわばり歩行ではフットクリアランスが障害され、代償動作としてぶん回しやvaulting,骨盤傾斜が出現.

反張膝歩行は,膝関節が立脚中期,後期に伸展しエネルギー効率が悪化.さらに反張膝も認める.

ジャンプ歩行はヒラメ筋,腓腹筋拘縮に痙縮が関係.

最後に内旋歩行の因子に,大腿骨の過前捻角,股関節屈筋群の痙縮,股関節回旋筋の不均衡,ハムストリングや内転筋の痙縮が挙げる.

4.まとめ

脳性麻痺の異常歩行は視覚的な評価も可能だ.しかし詳細にすると複雑で困難となる.本稿では三次元歩行分析の有用性を述べており,精読することで各歩行パターンのメカニズムを理解し図,動画によりイメージが膨らみ参考となる記事であった.臨床で異常歩行の分析に難航する際には一度精読することを勧める記事である.

記事:Ryu