成長期の足関節周辺のスポーツ障害と理学療法 

(221028配信)

成長期の足関節周辺のスポーツ障害と理学療法

篠原博 羽場俊広

Journal of Physical Therapy Vol.38 No.9 2021.9 P 830-837



【アブストラクト】


成長期の特徴(疲労骨折、シンスプリント、踵骨骨端症)


理学療法評価の実際


アライメント 2)疼痛 3)可動域4)筋力 

理学療法評価の要点(疲労骨折、シンスプリント、踵骨骨端症)

理学療法の要点(疲労骨折、シンスプリント、踵骨骨端症)



【構成】


 成長期の足関節周辺のスポーツ障害である疲労骨折、シンスプリント、踵骨骨端症に対し、疾患の特徴、理学療法評価、理学療法が述べられている。



【内容】


疲労骨折


正常な骨組織に、機械的ストレスが反復して加わることで生じる骨折。ランニングに起因する事が多い。脛骨や中足骨が後発部位。


評価の要点:全身および足部のアライメント、左右の下肢荷重量、母趾と小趾の荷重割合を確認するのが重要。例)第5中足骨の疲労骨折では小趾への荷重割合多いく踵骨回外傾向、腓骨筋群や後脛骨筋の筋出力不良など。


理学療法の要点:荷重割合を調整する事が重要。足・膝・股関節の運動連鎖を考慮し、どのように荷重(荷重量、荷重割合)を改善させるかを考える。



シンスプリント


多くは脛骨後内縁中1/3に起こる疼痛が主症状。ランニングやジャンプの頻度が高いスポーツで多発。トレーニング頻度増量や硬い路面でのランニングで発生頻度が高くなる。前脛骨筋、後脛骨筋、ヒラメ筋の過緊張により、脛骨骨膜に伸張ストレスが生じることで疼痛に足ると考えられている。



評価の要点

:足部内反筋の過緊張により、歩行時の足圧中心が足関節中心よりも外方に偏位し、内部足関節内反モーメントが大きくなる。そのため、足部内反筋の起始部である脛骨後内縁に炎症が起こる。直接接している長趾屈筋が疼痛の原因となる事がある。


理学療法の要点

:ランニングや歩行の衝撃は下肢障害の発生に関連し、大腿四頭筋の筋出力を向上させる事で下腿部の衝撃を緩和できる。また、アーチサポートで疼痛軽減例もある。



踵骨骨端症


踵骨骨の骨端核に生じる疾患。ランニングやジャンプなどによる骨端核へ圧迫ストレスと、アキレス腱や足底腱膜からの伸張ストレスが踵骨骨端線に加わり疼痛が生じる。



評価の要点

:踵骨骨端症ではアキレス腱の伸張性低下や下腿三頭筋の短縮が生じている事が多い。アキレス腱などの短縮が反張膝や骨盤過前脛、腰椎過前湾などを引き起こす。


 理学療法の要点:適切な姿勢でアキレス腱や足底腱膜のストレッチを伝える。足趾、足根骨、後足部に対するセルフ関節モビライゼーションも有効か。



【面白かった点と感想】


 疲労骨折、シンスプリント、踵骨骨端症の特徴が分かりやすく記載されている文献と感じました。疼痛発生に起因する軟部組織を覚えておくと臨床にすごく役立つと思います。



【結語】


 成長期では股関節や膝関節のスポーツ障害に比べ、足関節周辺のスポーツ障害が多いとの事です。成長期の足関節周辺のスポーツ障害の理学療法を実施する際に心がけておきたい事が分かる内容となっています。



記事:琢麻

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