高齢脳卒中患者の予後予測と目標設定

(231006配信)

高齢脳卒中患者の予後予測と目標設定

阿部 貴文 佐藤 陽一 大口 陽子 今井 遼太

理学療法ジャーナルVol.57 No.6

2023.6 p673-679



【文献の要点】


・高齢者の脳卒中患者では、年齢や運動・感覚障害に加え、サルコペニアや低栄養といっ 

た点も予後予測には重要な視点となる。


・回復期脳卒中患者では、その半数近くでサルコペニアを認める。


・急性期にてサルコペニアの発生、悪化を予防し、回復期以降のリハビリテーションへ移行していくことが重要である。



【文献の基本構造】


 脳卒中患者におけるサルコペニアの特徴を急性期、回復期に病期を分け解説している。そして、高齢脳卒中患者の予後予測を行ううえで重要となる評価、理学療法士としての介入、取り組みについて最新の知見などを踏まえて解説している。



【評価と介入例】


・筆者が示す高齢脳卒中患者に対して重要となる評価


体組成評価

Body Mass Index(BMI):高いBMIは良好な機能予後に繋がる報告もあり、肥満パラドックスとも呼ばれているが、サルコペニア肥満には注意が必要。


下腿周囲長:スクリーニングの評価としても用いられる。


栄養状態:近年ではGlobal Leadership Initiative on Malnutrition (GLIM)基準が提唱されている。


エネルギー摂取量:発症から1週間のエネルギー摂取量が身体機能や自宅退院率に影響するという報告もある。


嚥下機能:急性期患者の2割程度が嚥下障害を有するという報告がある。


・理学療法の介入例


栄養介入とレジスタンストレーニング

高エネルギー摂取と長時間のリハビリテーション

活動量、離床時間の確保



【まとめ】


 高齢脳卒中患者の多くにサルコペニアが併存している。運動麻痺や感覚障害とともに機能予後にも大きな影響を与える。機能予後を行ううえで重要な評価を挙げており、初見の評価もあるものの、どれも比較的簡易的で臨床現場においても実施しやすいのではないかと感じる。


また、理学療法の介入例からは、栄養と運動、リハビリテーションのバランスが重要と考える。さらに入院中の活動量の増加、離床時間の確保においては、リハビリテーション介入以外の時間、病棟での過ごし方を考えなくてはならない。


リハビリテーション以外の時間は、ほとんど寝たきりというケースも少なくないと感じる。病棟スタッフとの情報共有から、他職種、多職種が離床の必要性について理解する必要がある。



記事:ながちゃん

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