姿勢からみた筋力評価
鈴木 あかり
理学療法ジャーナルVol.57 No.8 2023.8 p968-971
・姿勢評価はアライメントの崩れや形態異常の確認、関節拘縮や筋のアンバランスなどを把握するために行われる。
・床反力や関節モーメントから筋活動、筋力低下が起こりやすい筋が推測できる。
・姿勢からは対象者の生活習慣や癖、過去や未来も推察できる。
本稿では姿勢から収縮している筋や筋力低下が起こりやすい筋を予測するため、どういう視点で姿勢評価を行っていくか、筋力評価とどう組み合わせていくのかを述べている。
また、現在の姿勢から、どうしてその姿勢となっているのか、将来どういった問題が生じやすいのか、姿勢から見えてくる対象者の生活習慣や癖、過去や未来をどう推察していくのか、筆者の考えが述べられている。
姿勢評価の意義、姿勢評価のポイント、そして、実際の症例から姿勢評価の流れを解説している。
〇立位姿勢の重心線
矢状面:
乳様突起、肩峰、大転子、膝関節中心のやや前方、外果の前方を通る線
前額面:
後頭隆起、椎骨棘突起、殿裂、両膝関節内側の中心、両内果間の中心を通る線
〇抗重力筋
母指外転筋、ヒラメ筋、腓腹筋、脊柱起立筋、頭半棘筋、咬筋
主要姿勢筋:頸部筋、脊柱起立筋、大腿二頭筋、ヒラメ筋
〇床反力、関節モーメント
床反力と関節モーメントの関係から、姿勢を保つために関節の周りでは床反力ベクトルと逆側の筋が活動している。
動作観察や動作分析といった姿勢評価は、学生のころから身近な評価の1つである。
姿勢評価では、姿勢がどうなっているのか、問題点は何かなどと、現在、今の状態を評価していくが、その姿勢になるまでには様々な理由があり、その姿勢が続くと、今後さらに他の問題が生じてくる可能性もある。
今の姿勢が改善できても、過去や未来が予測できていないと、再び問題が繰り返されることにもなる。普段の対象者、家族などと関わるなかで、これまでの生活状況などを確認、把握しているが、それらの情報と姿勢評価を組み合わせることが重要であると感じる。
基本的な評価であるが、対象者の過去や未来も見えてくる、適切に評価を行うことで、様々な情報が得ることができる評価である。学生から若手理学療法士と幅広い層で、姿勢評価のポイントや姿勢評価の考え方など参考となる内容である。
記事:ながちゃん