がん終末期緩和ケアと理学療法
2.患者・家族の希望の把握と変化への柔軟な対応
矢木 健太郎
理学療法ジャーナルVol.55 No.8 2021.8 p883-885
・理学療法の目的は患者と家族のQOLの向上である。
・情報収集すべき項目は多岐にわたるが、医師や看護師、患者本人と家族と話し合いながら、理学療法に対する希望など情報を得ていく。
・患者や家族の希望を把握することが重要であるが、乖離する可能性、希望は変化していくことがあることを念頭に置き、対応する必要がある。
がん終末期における患者本人や家族の希望の特徴から、希望を聴取・把握する上での注意点やその対応について、著者の経験を含め解説している。
〇患者の希望が現実と乖離する場合
現状について詳細な説明が行われていない場合と説明されているが受容できていない場合がある。第一に希望に対しては否定してはいけない。患者の想いに寄り添いながら、そう思う理由を傾聴していく。
〇医療者側の考えと患者と家族の希望が乖離する場合
まずは先入観を排除する必要がある。患者は医療者の考えに従おうとすることもあるため、セラピスト本位とならず、丁寧に患者、家族から希望を聴取することが重要。
〇患者本人と家族の希望が乖離する場合
家族への関わり方も重要となる。患者家族を孤立させないように、お互いの折り合いがつくところを見つけることがポイント。
希望を聴取、把握する上での注意点として「乖離」を挙げている。患者自身や医療者、患者と家族とそれぞれの場合で注意点とその対応を述べているが、どれにおいても共通して、なぜそういう思いなのかを考え、患者や家族と寄り添い、傾聴していくことが重要であると思う。終末期がん患者に限らず、理学療法を実施する上で、目標設定をする上で重要なことである。終末期という病期の進行など日々状態の変化や今までできていたことができなくなるなかで、患者と家族双方の考えを尊重し柔軟な対応ができるためにも、改めて自分自身が普段行っている患者や家族との関わり方、傾聴の仕方を見つめ直したい。
記事:ながちゃん