フレイルとオーラルフレイル

(230707配信)

フレイルとオーラルフレイル

長谷川 翔平 戸原 玄

理学療法ジャーナルVol.57 No.2 2023.2  p 136-141



【文献の要点】


・フレイルとは健康と要介護の間の状態であり、介入次第で健康に戻ることができる状態。身体的、心理的、社会的などの要因に加え、口腔や栄養といった要因が相互に関係している。

・オーラルフレイルとは、口腔の健康が少しでも損なわれた状態から要介護までの全過程を指す。

・歯科の専門ではないが、口腔の状態を観察する習慣をつけることで変化を捉えやすくなる。

・実施しやすい口腔周囲筋力トレーニングから効果を確認し、歯科への紹介を検討する。



【文献の基本構造】


 近頃は、身体機能低下と口腔の状態が関与していることが分かってきており、その重要性も高くなっている。本稿では、はじめにフレイルやオーラルフレイルなどといった用語の解説を述べている。耳にすることが多い用語であるが、定義や内容まで理解できていない部分も多いのではないか。


概略図や研究結果などからもフレイルやオーラルフレイル、またその関係性を解説している。最後には、オーラルフレイルに対するスクリーニング法、筋力トレーニングについて、専門分野ではないが、簡単に実施でき、多くの対象者に有効な方法を解説している。



【オーラルフレイルの段階とその対応】


 オーラルフレイルとは、口腔の健康が少しでも損なわれた状態から要介護となるまでの全過程を指している。また、その状態は4つの段階に分けられる。


口腔の健康についての知識や関心不足

→8020運動などの啓発活動、早期の歯科治療、定期的な歯科健診など


口の些細なトラブル:食べこぼしや僅かなむせなど

→地区市町村での介護予防事業などによる対応


咬合力や舌圧、咀嚼・嚥下機能などの低下

→必要な検査、リハビリテーションなど、対応は歯科診療所が担う


摂食嚥下障害

→専門職により専門的な評価やリハビリテーションなどの介入



【まとめ】


 フレイルやオーラルフレイルといった言葉を耳にすることも多く、口の機能、栄養が身体機能と関与すること、口の機能も運動器と同様に虚弱していくことは知っているだろうと思っていた。


しかし、フレイルやオーラルフレイルの定義や段階、それに伴う対応など理解できていない部分が多いと感じた。また、口腔内、口の機能は専門職ではないと自然と無意識に避けていることはないだろうか。


運動器、身体機能とも大きく関与し、リハビリテーションの現場で歯科医師などの専門職がいないことも多いため、オーラルフレイルの知識、スクリーニング法や口腔周囲筋の筋力トレーニング方法を理解しておくことで、口腔機能の維持、また、必要に応じて歯科など専門職への紹介にも繋がっていくと考える。




記事:ながちゃん

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