変形性膝関節症に対するホームエクササイズ指導のポイント
伊藤雄 松本尚 青木喜満
Journal of Physical Therapy Vol.39 No.3 2022.3 P 231-238
患者の在宅環境の確認
患者のコンプライアンスを高めるためのポイント
ホームエクササイズの実際
関節可動域改善エクササイズ 2)筋力増強エクササイズ
荷重練習
変形性膝関節症は、膝関節にかかるメカノストレスによる膝関節構成体全体の退行変性疾患と考えられている。60歳以上で男性47%、女性70%の有病率があるとされている。
新型コロナウイルスにより、通院治療が困難なケースも増えている。十分な外来通院頻度が確保できなければ、ホームエクササイズを中心に対応することで機能改善を図ることができると考えられている。
変形性膝関節症患者がホームエクササイズを行う上で留意するべき点である在宅環境の準備、コンプライアンスを高める工夫について述べられてある文献である。
ホームエクササイズを指導するには、自宅環境を確認し、自宅で実施可能な形のホームエクササイズを指導することが、エクササイズ継続をしてもらうために重要である。
①エクササイズを行う十分なスペースがあるか
②床で実施するか、ベッドで実施するか
③患者が姿勢を確認できる鏡はあるか
④適当な高さの椅子があるか
などを確認する。
膝OA患者は、ハムストリングスの短縮や腰部疾患の合併により、長座位保持困難な場合もあり、壁を背にして運動できるか確認する。
患者のコンプライアンスを高めるためには、患者が有する症状の原因、症状に寄与している機能障害を詳細に評価し、治療者から患者に説明し理解してもらうことが重要である。
その上で、患者の運動意欲を把握し、ホームエクササイズとして指導する種目の優先順位をつけ、必要の高いものを中心に指導する。ホームエクササイズ継続するには、短期目標、長期目標を設定し、運動の強度や難易度を段階的に上げていくことが重要である。
膝OA患者が行うホームエクササイズは、「関節可動域運動」「筋力増強運動」「荷重下歩行能力改善」に分けられる。保存療法と術後では目的が少し異なることを理解しておく必要がある。
保存では症状の緩和と悪化する防止であり、術後は可動域や筋力や歩行能力の可能な限りの改善である。ホームエクササイズの具体的な内容は文献を読んでみてください。
患者にセルフエクササイズをいかに継続してもらうかを悩むセラピストは多いと思います。継続してもらうために患者の環境を理解し、それを参考にしながらセルフエクササイズを提供していく必要があることが臨床をしている上ですごく腑に落ちました。
変形性膝関節症患者に対し、ホームエクササイズの指導する上で、必要な考え方が記載されている文献です。是非読んでみてください。
記事:琢麻