知っておきたいパーキンソン病の病態生理と脳科学的知見
水野美邦
理学療法37巻6号2020年6月P484-490
パーキンソン病(以下PD)の疫学的な情報から基本基礎疾患,最近の知見がまとめられている.
パーキンソン病
人口10万人に対して150人
15~18万人/全国
50歳以降の発症が多い
と病態生理を考えるうえで基本情報は非常に重要である.
本文中にPD4徴に関する説明が非常にシンプルになされており,後輩指導や学生指導にも是非参考にして欲しいと思う.
この文献の面白い部分として,著者の考えが各見出し末文に載せており,エビデンスレベルではない事が注釈を入れて書いているものの,ベテランの先生の考えを覗くという意味でも追って読む事をお勧めしたい.
PDの発症初期の症状が紹介されており, なかなかジャーナルを読んでいても出会えない情報として紹介したい.
50%:片側上肢又は下肢からの振戦
30%:歩行障害により歩行速度が低下し,片側足部を引きずるようになる
20%:手指巧緻動作緩慢
・PDの病態生理
黒質の変性では神経細胞が減っていく(原因はわかっていない)
残存している神経細胞の中にレビー小体ができる.
レビー小体=アルファシヌクレインの凝集物
アルファシヌクレインは正常ではシナプス終末に可溶性たんぱくが存在する.
アルファシヌクレインが凝集してレビー小体になると凝集の過程で水に溶けにくくなる.
不溶性になったアルファシヌクレインがプリオンのような状態となり細胞間を移行し病気が進行する.と考えられている.
:未だ不明な点が多いものの,最近の知見として理解を深めるには非常に面白い内容だと思う.
本文献の見どころとして,図2の黒質のマクロ所見とミクロ所見であり,カラーでPD患者の脳の黒質を見る機会は臨床ではほとんどないと思う.自分のPDに関する知識のアップデートを含めて,一読をお勧めしたい内容である.
記事:ひわ