人工膝関節置換術術後難治例に対する理学療法の関わり

(220430配信)

人工膝関節置換術術後難治例に対する理学療法の関わり

角瀬邦晃 神成透 小林巧

Journal of Physical Therapy Vol.39 No.1

2022.1 P 21-29


【アブストラクト】


TKA後の膝関節可動域制限の影響

TKA後の関節可動域に影響する因子

1)術前可動域

2)関節変形

3)インプラントの機種

4)術後手技

5)後療法


【構成】


 人工膝関節置換術(TKA)は膝関節障害に起因する膝関節痛に対する手術療法として用いられる。TKA後の可動域制限は日常生活に影響を及ぼすため、関節可動域の改善は重要な目標の一つである。TKA後の関節可動域制限の因子について述べられている文献である。

 

【内容】


 TKA後では膝関節10°以上の伸展制限、屈曲125以下の症例では日常生活活動上の障害をきたす事が多くなる。また、歩行時のエネルギー効率の低下、インプラント耐久性の低下させる可能性がある。TKA後の可動域改善は重要な目標の一つである。


 TKA後の膝関節可動域に影響を及ぼす因子は、基本属性として年齢、属性、肥満が挙げられる。術前因子として術前の可動域と変形が挙げられる。術中因子としてはインプラントの機種、手術手技(皮切、術式アプローチ法、縫合方法)が挙げられる。


術後因子としては腫脹、浮腫、疼痛などの炎症症状、膝関節周囲組織の伸張性、筋緊張、膝蓋骨アライメントが挙げられるえる。


1)術前の可動域は大腿四頭筋を主とする伸展機構の伸張性低下が影響

2)関節変形は術前の内反変形が強いほど、術後の屈曲角度低下がる傾向

3)インプラントはCR型、PS型、CS型それぞれ特徴の把握が必要

4)関節の展開方法により侵襲部位や範囲が異なる、大腿四頭筋の侵襲の程度を把握が重要

5)術後法は、術後早期から理学療法を行うこと、自動運動を行うことで良好な成績を得られる。


炎症症状、膝関節周囲そしきの伸張力性低下及び癒着、膝蓋骨アライメントの介入が重要。


 TKA後からの過度な可動域訓練は炎症の鎮静化にとって望ましくない。炎症管理や疼痛コントロールを行いながら可動域拡大を行う事が重要である。TKA後でも筋の筋長さや収縮形態などは術前のままである事が多い。術前の評価、術中のの情報を把握、術後の

状態おを見ながら理学療法介入が重要である。

 


【面白かった点と感想】


 TKA後の膝関節可動域制限に影響を及ぼす術前、術中、術後それぞれの因子が分かりやすく記載されている文献だと思いました。関連因子を把握しておく事で、どの組織による制限かの手がかりとなり、治療効果も大きく変わると思います。


【結語】


 TKA後の患者にただ関節可動域訓練を行なっていませんか。なぜ可動域制限になるのかのヒントが記載されている文献です。学生や1年目のセラピストでも分かりやすい内容で記載されている文献です。是非読んでみてください。

 


記事:琢麻



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