脊椎圧迫骨折後の離床期における理学療法の工夫

(230210配信)

脊椎圧迫骨折後の離床期における理学療法の工夫

岡安 健

理学療法ジャーナルVol.56 No.12

2022.12 p1413-1421



【文献の要点】


・受傷初期の疼痛は腰背部の骨折部と一致して動作時に出現することが多い。しかし、殿部から下肢への放散痛といった骨折部位とは異なる部位への疼痛の出現にも注意する。


・体幹装具装着により固定増加や疼痛緩和などの効果が期待できるが、肩甲骨や骨盤の可動性低下、体幹筋力低下などのリスクがあることに注意する。


・疼痛緩和に考慮した動作指導、体幹の深屈曲、回旋に注意し指導を行う。


・服薬や装具の使用、動作指導から適切な疼痛コントロールを行い、早期の離床、廃用症候群の予防に繋げる。



【文献の基本構造】


 はじめに脊椎圧迫骨折受傷後の疼痛の特徴、また、疼痛緩和の手段である薬物療法と装具療法について解説している。使用される主な鎮痛剤について作用、副作用を表にまとめている。次に、疼痛緩和のための姿勢や動作、動作の指導を解説している。そして、疼痛を考慮、コントロールした上での理学療法、筋力exやROMexを紹介している。



【姿勢や動作、理学療法の工夫】


〇姿勢や動作


 骨折部、椎体にかかる荷重、負荷に注意が必要である。仰臥位ではベッドギャッジアップ20度程度のファーラー位、座位では軽度後屈位の背もたれの使用など工夫する。


本稿では、寝返り、起き上がり、立ち上がり動作について動作の注意点、工夫を述べている。姿勢同様に、骨折部、脊柱にかかる負荷に注意し、体幹の回旋、深屈曲を回避するように環境調整なども踏まえて動作指導を行う。


理学療法アプローチにおいても、これまで述べているように疼痛の出現、増悪、骨折部や脊柱への荷重、負荷に注意し実施していく。また、体幹装具装着により、体幹筋力低下や頸部、胸郭の可動性低下などが懸念される。装具装着の弊害予防も踏まえて理学療法を立案していく。



【まとめ】


 体幹装具の装着や服薬により疼痛の緩和が図れ、早期の離床や運動療法の実施が可能となる。骨折部や脊柱への荷重、ストレスがどういう姿勢、動作で過度にかかるのかを理解し、疼痛の増悪や骨癒合の遅延などを引き起こさないようにすることが重要である。


また、装具装着による弊害も考える必要がある。頸部や胸椎の可動性低下による呼吸への問題や体幹筋力低下など、装具フリーとなってからを想定し理学療法の立案が重要となると考える。



記事:ながちゃん


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