肩関節疾患患者の理学療法における代償運動の捉え方

(230127配信)

肩関節疾患患者の理学療法における代償運動の捉え方

高橋友明 畑幸彦

Journal of Physical Therapy Vol.39 No.8 2022.8P722-729



【アブストラクト】


肩関節疾患における代償運動をどう捉えるか

肩関節疾患患者が呈する主な代償運動

臨床現場における代償運動の把握

臨床現場における代償運動の抑制と活用



【構成】


 肩関節の障害を持つ患者の病態は様々です。臨床現場で障害部位の機能を補填する代償運動はよく見られます。代償運動により病態把握を難しくしている要因の一つです。この文献は肩関節疾患患者が呈する主な代償運動と代償運動をどのように捉え、抑制または活用していくかについて紹介されている文献です。



【内容】


肩関節の運動機能障害を引き起こす要因は多岐にわたり、肩甲上腕関節以外の肩甲胸郭関節、体幹および下肢なども要因となる。肩関節は複数の関節が代償・補償しあっているため、多少の機能障害があっても運動を遂行できてしまう。その一部の関節に負担が増すことで障害を招く。運動機能評価の際、「どのような代償運動が起きているか」「何が原因でこの代償運動が起きているか」という視点で運動機能を捉える必要がある。


上肢挙上に必要な仕事量を肩関節複合体(肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、肩鎖関節)体幹・胸郭・下肢がそれぞれ担っている。仕事量が増えた関節は痛みに繋がるとも報告されている。※肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、体幹・下肢、腱板機能不全のそれぞれに関する代償運動が紹介されています。


代償運動がなぜ行なっているかを探り、代償運動が改善・抑制の対象か活用推奨の対象かを判断する必要がある。代償運動が機能的に問題を生じている、非効率な運動、日常生活に支障をきたしている、将来的に障害が予測される場合は改善・抑制の対象となる。


日常生活が上手く行えている、生活機能の低下を避けられている、安全に行えている場合は活用・推奨の対象となる。※肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、体幹・下肢、腱板機能不全それぞれの可動制限や低下に対する代償の把握が紹介されています。


臨床現場における肩甲骨の過剰な代償運動の抑制、肩甲胸郭関節の代償運動の活用、広範囲の腱板損傷の保存に対する残存機能と代償運動の活用が紹介されています。 



【面白かった点と感想】


 代償運動の観察や病態理解をしていくにはある程度経験が必要です。その前に肩関節疾患で起こりうる代償運動や治療に繋がる考え方を知る事が出来る文献だと思いました。臨床現場で代償動作を改善するのか、そのままでいいのかと考える事が多いと思います。そんな方にもおすすめの文献です。


【結語】


 肩関節疾患患者の理学療法における代償運動の捉え方が記載されている文献です。文献の内容も読みやすく、評価方法や図の記載もありより分かりやすかったです。是非読んでみてください。



記事:琢麻




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