腰痛患者に対するホームエクササイズ指導のポイント
成田崇矢
Journal of Physical Therapy Vol.39 No.3 2022.3 P 215-222
1.患者のコンプライアンスを高める際のポイント
1)コンプライアンスとアドヒアランス
2)コンプライアンスに関する因子
3)患者のコンプライアンスを高めるポイント
4)患者のアドヒアランスを向上させる理学療法戦略
2.椎間板性腰痛
1)椎間板性腰痛の病態
2)椎間板性腰痛に対するホームエクササイズ指導
3.腰部脊柱管狭窄症
1)腰部脊柱管狭窄症の病態
2)腰部脊柱管狭窄症に対するホームエクササイズ指導
慢性腰痛や非特異性腰痛の治療では、運動療法が推奨されている。システマティックレビューでは、ホームエクササイズは腰痛の強さや機能不全を改善させるとされている。ホームエクササイズを効果的に行うためのコンプライアンス向上のポイントと病態別のホームエクササイズの例が記載されている文献です。
「医療者の指示に患者がどの程度従うか」がコンプライアンスの意味である。患者の70%はホームエクササイズに取り組んでいないという報告もある。
ホームエクササイズを効果を高めるため、アドヒアランスが必要である。アドヒアランスとは、「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける事」である。理学療法士が一方的にホームエクササイズを提供するのでなく、患者と共にホームエクササイズを考える事が重要である。
コンプライアンスは患者個人因子と介入関連因子がある。患者自身の健康管理能力や痛みの強さが高いほどコンプライアンスは高い。一方では低い自己効力感、うつ病、運動への苦手意識、運動中の痛みの上昇等が有ればコンプライアンスは低下する。介入関連因子では、定期的な理学療法士のフォローアップがクリアランスを上昇させるとの事である。
コンプライアンスを高めるためには、「理学療法士は有能で力を与えてくれる存在」と認識させる事である。そのために初回介入で痛みが取れた経験をさせる必要がある。また、患者自身がホームエクササイズを行い、痛みが改善する成功体験を促すことも重要である。
患者自身が疼痛に対しマネジメントする事の教育を促していく必要がある。
流れとしては
①徒手的に介入し疼痛除去、病態の理解
②ストレス部位へのメカノストレス減弱させる機能評価
③機能不全が有れば改善させるホームエクササイズの指導
④患者自身がホームエクササイズによる成功体験を得る
⑤患者自身がマネージメントを行う
椎間板性腰痛と脊柱管狭窄症についての病態と症例を紹介しながらホームエクササイズの指導が記載されています。文献を読んでください。
ホームエクササイズ指導において、理学療法士がただ一方的に提供するとのでなく、患者も参加をしながら考えていく必要があるのだと府に落ちたポイントでした。今回の文献はホームエクササイズのやり方よりも、どう患者にホームエクササイズを行うよう促していくかについての考え方が学べたと感じました。
腰痛患者に対し、ホームエクササイズの指導する上で、必要な考え方が記載されている文献です。是非読んでみてください。
文責:琢麻