心臓病患者の緩和ケアにおける理学療法士の役割

(221125配信)

心臓病患者の緩和ケアにおける理学療法士の役割

笠原酉介 井澤和大 武市尚也 根本慎司 鈴木規雄

Journal of Physical Therapy Vol.39 No.5

2022.5P398-409



【アブストラクト】


心臓リハビリテーションと緩和ケアの接点と相違

心臓病(特に心不全)における全人的苦痛

緩和ケアチームにおける理学療法士の役割

心臓病の緩和ケアにおける理学療法の実践



【構成】


 心臓リハビリテーションは、虚血性心疾患、心筋症、弁膜疾患を代表とする心臓病が対象となる。


心臓病の多くは進行性であり、病状が進行し心不全の状態になると増悪と改善を繰り返し最後には死に至る。


理学療法士も心疾患患者に向きあう医療従事者の一人であり、苦痛を理解し、緩和する介入が必要な場面に遭遇する。


心臓病患者に対する緩和ケアを実施するチームの一員として、理学療法士に求められている知識と役割が記載されている文献である。



【内容】


 心臓病患者に対する緩和ケアでは、患者や家族が抱える「苦痛」を理解する必要がある。


「苦痛」については、「身体的苦痛」、「精神的苦痛」、「社会的苦痛」、「スピリチュアルな問題」があり、評価および評価結果に応じたケアプランが実行される。


身体的苦痛として、呼吸困難、胸痛、疲労感や倦怠感が挙げられる。精神的苦痛として、心不全患者では抑うつや不安感が挙げられる。


社会的苦痛としては、患者を取り巻く社会的要因は患者個々で異なる。社会的問題点を考察する際には年齢、性別、生活歴、家族の有無、職業、職業以外の社会的役割、経済状況、住環境、信仰する宗教の有無、心臓病の療養環境、趣味など様々な情報を収集する必要がる。


スピリチュアルな問題とは「自分が自分らしく存在できないことのつらさ」を指すし、心臓病患者が「自分で自分のことができない」苦痛である。


 緩和ケアが提供されるべき期間は死亡前の数ヶ月になることが多い。JCS/JHFSステージ分類おけるCからDである。ステージCにおいて理学療法では、運動耐容能の改善、労作時の呼吸困難感軽減、日常生活の指導を目的に行う。


心臓リハビリテーションで主に実施されている運動療法やADLトレーニングを主体とした介入で効果があるとされている。


ステージDでは呼吸困難感に対する介入や身体機能およびADL維持を目的とした介入を行う。ステージDでは安静時でも呼吸困難感を呈する。薬物療法と併用し、ポジショニングや呼吸介助による呼吸困難感軽減をはかる。


 理学療法士は緩和ケアの領域において専門性を活かし、保健医療スタッフ間の連携を進め、患者一人と向き合っていく必要がある。



【面白かった点と感想】


 緩和ケアに対して患者が抱える「苦痛」を理解していくことがとても重要だと感じた。文献中にそれぞれの「苦痛」に対し行う評価が記載されているので参考にできます。


「苦痛」を理解した上で、理学療法士として何に介入できるかそれぞれが考える必要があると感じた。



【結語】


今後需要として、増えていく領域だと思います。心臓病疾患の緩和ケアにおける理学療法士の役割について必要な考え方が記載されている文献です。是非読んでみてください。

 


記事:琢麻



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