パーキンソン病Hoehn and Yahr重症度分類Ⅰ~Ⅳの理学療法

(220123配信)

パーキンソン病Hoehn and Yahr重症度分類Ⅰ~Ⅳの理学療法

牧野 諒平

理学療法ジャーナルVol.55 No.11 2021.11 p1192-1199



【文献の要点】


・パーキンソン病患者に対しての運動療法で、身体機能やADL、QOLなどの改善が望める。

・パーキンソン病は進行性の疾患であり、様々な症状がみられる。進行に対応した適切な介入、そして理学療法を行う上で対象者本人が病気や症状に対する理解が重要である。

・歩行補助具の使用により、姿勢の修正や歩幅の拡大、すくみ足の改善などが期待できる。



【文献の基本構造】


 まずパーキンソン病に対する運動療法の目的を大きく2つ述べている。そして、Hoehn and Yahr重症度分類Ⅰ、ⅡとⅢ、Ⅳに分け、それぞれの時期にみられやすい症状や運動内容の例、ポイントなどを説明している。


また早期から介入することで機能維持、改善が望めることを、実際の現場での取り組みから紹介している。さいごに、歩行補助具や外的刺激入力による歩行などの動作への影響、その注意点を述べている。



【Hoehn and Yahr重症度分類別の理学療法のポイント】


〇Hoehn and Yahr重症度分類Ⅰ、Ⅱ

 運動症状は比較的軽微であるが、運動範囲の狭小化や活動量の低下が進行してくる。首下がり症候群や腰曲がりといった特徴的な姿勢がみられる。

また、パーキンソン病患者の2~5割に認知障害を認め、初期から発症する可能性があると言われている。在宅生活を送る方も多く、本人はもちろんのこと、家族や介助者へのセルフエクササイズなどを指導し、活動量を維持していくことが重要。早期から運動療法を実施することで進行の予防が望める。


運動内容の例:全身を使うダイナミックな運動、有酸素運動など。


〇Hoehn and Yahr重症度分類Ⅲ、Ⅳ


 運動症状が明確にみられる時期。ADLへの影響もみられ、理学療法の対象となることが多い。すくみ足などの歩行障害、姿勢反射障害やon-off現象が進行してくるため、転倒リスクが増加する。


静的・動的バランスに対する反応も遅延してくるため、重心移動練習やステップ練習などが行われる。症状の進行に伴って他動的な運動比率が増えるが、視覚や聴覚的cueの利用、歩行補助具や福祉用具の導入、環境調整などの対応もより必要となる。

また、リハビリ室と自宅での能力に差異が生じることも多いため、病院や施設、訪問などセラピスト間での情報、目標の共有が重要である。



【まとめ】


 パーキンソン病の症状は様々であり、患者により優位な症状、進行度に違いがあることは臨床現場にて経験するだろう。運動療法に加え、歩行補助具の導入や生活指導、環境調整など多方面からのアプローチが必要となるが、重症度別での症状の特徴や介入する上でのポイントを理解した上で、重症度や疾患の進行に応じたリハビリテーションを提供していきたい。



記事:ながちゃん


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