間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの現状と展望

(220206配信)

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションの現状と展望

佐々木琢磨

総合リハビリテーション Vol.49 No.11 2021.11 pp1045-1052


Key word:間質性肺炎、連携、包括的呼吸リハビリテーション



★今回の記事はこんな方にオススメ!

・間質性肺炎患者への介入に悩んでいる方

・間質性肺炎に対するリハビリテーションの評価内容や注意点などを知りたい方


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こんにちは!欲しい本がありすぎて困っている‘テツ’です!


今回は間質性肺炎に対する呼吸リハに関する記事を紹介します。酸素の拡散能力が低下しやすい間質性肺炎ですが、リハビリを提供する上でどのような知識を要するのでしょうか?エビデンスや評価・注意点について見ていきましょう。



【間質性肺炎とは】


 間質性肺炎は字のごとく、肺胞と血管を取り囲む「間質」という部分に炎症などが生じ、ガス交換に支障をきたす疾患の総称を言います。この疾患では咳嗽、労作時呼吸困難が主症状であり、これらにより身体機能低下や運動耐容能低下、ADL低下を来しやすくなります。

 この間質性肺炎にはいくつか種類が存在し、主要なものは特発性肺線維症、特発性非特異性間質性肺炎、特発性器質化肺炎となっています。特に特発性肺線維症は間質性肺炎の約半数を占めており、高齢者に発症し進行性に悪化する病態として知られています。 



【呼吸リハのエビデンス】


間質性肺炎におけるエビデンスについてはいくつか紹介されているものを記載します。



●8週間の呼吸リハで短期的に6MWT、健康関連QOL、呼吸困難の改善を示す。早期の呼吸リハが長期的な効果を持続する可能性がある。(Dowmanら,2017)


●3週間の包括的呼吸リハ入院で短期的に6MD改善を示す。また、運動プログラム+心理的アプローチ、呼吸トレーニングなどを加えることでその上乗せ効果を期待できる(Jaroschら,20220)


●呼吸リハは慢性安定期の非薬物治療の項目で「弱い(提案)」(特発性肺線維症の治療ガイドライン2017)


呼吸リハが短期的効果であるという内容が目立ちますが、今後長期的な改善を目指す研究について着目していきたいですね。



【呼吸リハの方向性】


 間質性肺炎の呼吸リハでより長期的効果を引き出すために、①早期からの導入、②多職種から構成された包括的呼吸リハの導入が必要と考えられています。

この包括的呼吸リハの構成要素には運動療法、セルフケアマネジメント教育、栄養療法、心理社会的サポート、定期的な評価とされています。



【呼吸リハの評価、注意点】


SpO2

呼吸リハにおいてはSpO2のモニタリングは必須です。労作時のSpO2低下についてはもちろん、SpO2の数値と呼吸困難が一致しない症例がいることにも注意する必要があります。セラピストとしては酸素需要が減るような動作方法を提案することができる。


咳嗽と痰

間質性肺炎では乾性咳嗽が特徴的で、これは止まりにくく数分間続くこともあることからQOLを低下させる要因の1つとなっています。


筋萎縮・筋力低下と骨格筋機能異常

不活動や栄養失調、ステロイドの使用や炎症ストレスなどにより、筋肉機能不全促進因子が存在するとの報告があります。とりわけ筋力トレーニングでは


合併症への対応

原発性肺癌、肺高血圧症、肺感染症、気胸・縦郭気腫などを合併することが知られています。肺高血圧症は低酸素性肺血管攣縮や、肺血管床の減少によるもので、労作時の血流増加に対応できないため運動耐容能低下に影響しています。気胸・縦郭気腫は症状の進行に伴い出現しやすく、呼吸状態の観察に注意が必要です。


その他、著者が所属されている施設で行われている呼吸リハの特徴について述べられておりますので、気になる方は本文を読んでみるととても参考になるかと思います。



【Impressions】


間質性肺炎に対する呼吸リハを行う上で、セラピストとして関わる際に必要な知識をまとめました。知識が多岐に渡るように思われるかもしれませんが、より長期的な効果を得るためには必要不可欠なものとなっています。包括的な介入をする上でも、多職種が行う診療内容、ケア内容については関わる知識を知っておくことはよりスムーズな連携につながるのではないでしょうか。


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●明日からできること!


・長期的な効果を引き出すために、包括的な介入を行えるよう知識を身に付ける。

・間質性肺炎患者に対して理学療法士として行える評価・指導内容を身に付ける。


文責:テツ@永遠の若手理学療法士



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