web版集いのひろば
山田 実
総合リハビリテーション Vol.50 No.4 2022.4 pp375-382
Key word:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、介護予防、フレイル
・フレイル対策・介護予防に興味のある方
・インターネットを利用した高齢者に対するアプローチに興味のある方
今回はICTリハビリテーションに関して、webを利用した介護予防戦略についての記事を紹介します。
リハビリテーションにICTの視点が注目されるようになったのは、やはりCOVID-19の感染拡大がきっかけと言えるでしょう。今回触れるフレイル対策・介護予防については、社会参加を促すことも重要なアプローチの1つとなっています。現在も続くCOVID-19では、感染予防が重視されるあまり、高齢者の社会参加の機会が減り、身体活動制限を引き起こしてしまっていることが分かりました。
こういった状況に対して、どのような対策が立てられているのか、見ていきましょう。
コロナ禍で行うフレイル対策・介護予防の方法として、インターネットを活用した方法が提案されています。介護予防領域では“通いの場”と呼ばれる活動が推奨されていますが、そういった場に抵抗感を示す高齢者が多いのも現状です。この方法が定着されれば、より多くの高齢者に介護予防を提供することも期待できます。
IT後進国の日本では、インターネットと高齢者と聞けば、難易度が難しいと感じる方も多いと思います。しかし、携帯電話を利用している高齢者で、メールの送受信が可能な方も
多くいる(75歳以上でも40%を超える)との報告もあります。
筆者らが実施している方法を紹介します。
主としては、週1回の頻度でメールマガジンを配信するというシンプルな内容です。
内容は
①挨拶文
②動画のリンク
③アンケートフォームのリンク
④前回動画の質問への回答
⑤近況報告レポート
です。
②はフレイル対策に関する5~10分で、視聴後に③のアンケートに回答する流れとなっています。
この特徴としては、「定期的に情報を送付し続ける」、「質問・回答を共有する」、「個々の活動を紹介する」点にあります。
インターネット上には様々な情報があり、良質な情報を見つけることが出来ないことがある反面、情報を送付することで良質な情報にアクセスしやすくなるメリットがあります。質問への回答などについても、同じ疑問や境遇を持つ仲間を知り、仲間意識が芽生えることで社会的促進へ繋がることが確認されています。
登録は以下のワードで検索していただくことで参加登録が可能です。
[ 筑波大学介護予防教室 ]
最近まで、私は高齢者だからインターネットは難しいのでは・・・といった先入観を持っていましたが、情報提供の方法を工夫することで高齢者の参加がしやすくなる体制作りが可能であることを知りました。今回のweb版集いのひろばに関しても可能な限り簡単な方法での情報提供を用いており、参考になる内容であると思います。
コロナ禍で変わってしまった高齢者の社会生活の場を、新しい発想で何らかの形で取り戻していきたいですね。
・近くの高齢者の情報リテラシーについて知ってみる
・身近で出来る新しい介護予防について考えてみる
文責:テツ@永遠の若手理学療法士