エビデンスを参照した在宅呼吸器疾患患者に対する理学療法の考え方と進み方

(220923配信)

エビデンスを参照した在宅呼吸器疾患患者に対する理学療法の考え方と進み方

森野 陽

Journal of Physical Therapy Vol.38 No.7 2021.7 P623-631



【アブストラクト】


COPD患者に絞り、在宅理学療法の考え方と進め方が述べてあります。



1エビデンスを参照した在宅COPD患者に対する理学療法の考え方


2在宅COPD患者に対する在宅での評価とエビデンスを参照


3症例の紹介 (COPD軽症例、COPD重症例)


・COPD患者でも軽症例と重症例では実施する内容が大きく異なる



【基本構造】


 COPDの軽症例と重症例に絞り、在宅理学療法の考え方と進め方が述べられている。軽症例と重症例それぞれの評価、理学療法プログラムの考え方、プログラム、エビデンス参照ポイントが記載されている文献です。



【内容】


 在宅呼吸器疾患患者に対する理学療法の関わりは、外来呼吸リハビリテーションならびにホームエクササイズを中心に指導する関わりと、直接訪問し呼吸リハビリテーションを行う関わりがある。


 軽症から中等度の在宅COPD患者には、外来通院による呼吸リハビリテーションとホームエクササイズで効果があると認めらえている。重症例はエビデンスがほどんどない。



 在宅での理学療法評価は、まず重症度から判断。1秒量、息切れ、増悪頻度、運動耐容能、身体活動性、健康関連QOLの多要素から判断。呼吸困難の評価はmMRCと修正Borg scaleを用いる。


増悪頻度は「1年間で急性増悪がないか、1回だけ入院不要の急性増悪を起こした」、「1年間で2回以上の急性増悪、入院を必要とする急性増悪を1回以上起こしたか」で判断。健康関連QOLはCTAが簡易的。運動耐容能は6分間歩行試験やシャトルウォーキング試験が代表的だが、在宅では実施困難なことが多い。


その場で2分間のステップ運動で酸素摂取量、分時換気量、心拍数を評価することが臨床的意義がある。



 軽症例では高強度負荷の全身持久力トレーニングとレジスタンストレーニングの割合を多く行う。重症例ではコンディショニングやADLトレーニングが主な内容。


 通院困難で在宅でしか呼吸リハビリテーションが行えない重症患者のエビデンスはほとんど無い。エビデンスを構築するために利生者数を増やし、介入研究が必要である。


【面白かった点と自分の意見】


 在宅での呼吸リハビリテーションはイメージをするのが難しい人が多いと思います。どのように行っていくかがイメージしやすい文献だと感じました。文献の中で紹介された評価と運動を元に症例紹介がされているため、実際の臨床で活用しやすいと感じました。



【結語】


 在宅と呼吸器疾患どちらも苦手意識が強い分野だと思います。読んでみると意外に興味が湧いてくるかも知れません。在宅医療に興味のある方はもちろん、学生や新人のうちにも知っておきたい知識が記載されている文献なので是非読んでみてください。




記事:琢麻



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