人工関節置換術後の患者満足度 人工膝関節

(221202配信)

人工関節置換術後の患者満足度 人工膝関節

池田 崇、神原 雅典、井上 拓保、石原 剛

理学療法ジャーナルVol.56 No.7

2022.7 p818-824



【文献の要点】


・人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty: TKA)

・TKA後の患者満足度については国際的に注目されており、報告も増加している。

・日本の患者満足度は7割程度。

・満足度に関する因子には、痛みや破局的思考、期待、膝関節の機能などがある。



【文献の基本構造】


 患者満足度における研究報告は年々増加しており、本稿では2018年以降の研究から、患者の満足度、また本邦と海外の違いを述べている。


海外と本邦の満足度の研究を表にまとめ、それぞれの研究における満足度、関連因子が記載されている。次に、関連因子に対する理学療法のポイント、スポーツや農作業といった活動への復活、自己実現に向けた考え方を研究結果などから述べられている。



【関連因子に対する理学療法】


〇破局的思考


 「動いたら余計に痛くなる」といった不安が過度な安静、活動範囲の狭小化を招き、機能改善、自己実現などに影響が生じる。理学療法として特異的腰痛の分野でも注目されるcognitive functional therapy(CFT)が期待される。身体機能や活動範囲の改善に加え、自己効力感の改善が求められる。


Cognitive Functional Therapy(CFT)とは、認知的、機能的、生活習慣的な側面に対して評価や治療が実施される。疼痛、能力障害だけではなく、破局的思考や自己効力感といった心理面へも長期的な改善が期待されており、治療効果の有効性は多くの報告がある。



【まとめ】


 TKA後の患者満足度に関与する因子には痛みや患者の希望、膝関節の機能と理学療法、リハビリテーションに求められる部分は大きいことが改めて認識できる。


本稿でもあるようにスポーツや農作業などへの復帰と対象者が求めるものは様々である。農作業など地域性があるものもあり、自己実現を目指すにあたり、セラピストがその動作の理解、対象者やその地域を知ることも重要であると考える。


満足度を高めるため、可動域や筋力など身体機能面に偏らず、対象者それぞれの個別性、多様性を考慮した目標設定、介入が求められる。



記事:ながちゃん


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