社会参加の手段としての車椅子と関連用具-電動車椅子

(20211203配信)

社会参加の手段としての車椅子と関連用具-電動車椅子

北野義明

総合リハビリテーション Vol.49 No.8 2021.8 pp735-741


Key word:電動車椅子、駆動方式、走行特性、社会参加、社会環境



★今回の記事はこんな方にオススメ!

・移動手段として電動車椅子を提案しようと考えている方

・電動車いすの特性について知りたい方

・社会参加の手段に関する知識を増やしたい方




皆さんは電動車椅子を見たことがありますか、と聞かれたら多くの方が「YES」と答えるでしょう。では、電動車椅子の種類や移動機能などどのようなタイプがあるか聞かれた場合はどうでしょうか?

今回はタイトルにある通り、社会参加の手段として利用する電動車椅子に関する記事を紹介します。


電動車椅子で屋外を移動する際には段差や移動距離、公共交通機関・福祉車両などへの積み込みなど様々なことを考慮する必要があります。電動車椅子には様々な型式があり、その特性を活かして場面(傾斜や段差、路面の状況、移送方法など)に合わせた利用の方法で社会参加に繋げられることができます。

その特性について見ていきましょう。




【電動車椅子のタイプ別に見た特性】


●駆動型式


・普通型…前輪が大きくサスペンション機能を持ち、重量があるため安定している。傾斜や段差の走破に向いているが、車両の乗り入れが難しいことが多い。

・簡易型…簡易型は手動車椅子に電動駆動装置を装着したもので軽量であるため、段差解消機や福祉車両の利用に向いている。


●駆動輪配置


・後輪駆動:標準的タイプ。片流れ路面などで向きが変化しやすいため、操作がやや難しい。

・前輪駆動:推進力・走破性・旋回性が高いが、操作の習熟が必要。

・中駆動:最も旋回性能に優れ、操作しやすい。サスペンション性能が良ければ段差乗り越えもしやすい。

・四輪駆動:坂道、段差、悪路などの走破性が最も高い。全方向車輪(オムニホイール)を採用しているが、様々な問題で機種が限られている。



【様々な場面での工夫】


ここではいくつかの例を紹介します。


・外出先での情報収集:目的先までの行程(公共交通機関、移送サービスなど)での制限や、場合によっては事前連絡をしておくことでスムーズに移動しやすい。

・雨への対応:車椅子ごと覆うことのできる合羽の利用、電装部分もビニール袋で覆う。

・雪への対応:スリップを避けるため四輪駆動・前輪駆動が良い。低温と着雪により電装部品に悪影響を及ぼすため、カバーを装着する。

・夜間走行時:反射板やライト、方向指示灯などを設置して視認性を高める。

・走行距離が多い場合:大容量のバッテリーや予備のバッテリー、充電器を積んだりする。


【Impressions】


私自身、電動車椅子を見かけることはありましたが、その特性について知ることはありませんでした。車と同様で走る場所や利用方法を予測し、それに見合った特性の電動車椅子のタイプについて提案するのは福祉用具の選定に似ていると感じた部分でした。

電動車椅子をはじめとする福祉用具は新機能を搭載したモデルが開発されています。患者・利用者さんの社会参加を促すためにも、我々がそういった情報を意識して収集をしておきたいですね。



●明日からできること!


・福祉用具のカタログから電動車椅子のラインナップを知る



記事:テツ@永遠の若手理学療法士

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