成長期の腰椎分離症と理学療法

(220318配信)

成長期の腰椎分離症と理学療法

勝又哲 兼岩淳平 竹内大樹

Journal of Physical Therapy Vol.38 No.9 2021.9 P 806-820


【アブストラクト】


発生メカニズム


診断


1) 身体所見 2)画像所見 3)予後予測とゴール設定 


理学療法評価の概要


1) 椎間関節のメカニカルストレス 2)発生機序の確認 3)理学療法 4)装具

骨癒合が期待できる場合の理学療法(超初期、初期、進行期)


【構成】


 腰椎分離症は腰椎椎弓の関節突起間部に起こる疲労骨折である。成長期のスポーツ活動が原因で起こる腰痛の25%が腰椎分離症だと報告もある。腰椎分離症の病態と病期に応じた理学療法が述べられている文献です。

 

【内容】


発生メカニズムとして、体幹伸展と回旋の反復が腰椎分離症の発生要因である。身体所見では腰椎の伸展・回旋による腰痛、棘突起の圧痛がある。早期診断としてMRIが推奨されており、椎弓根の輝度変化の有無を確認する。骨癒合が期待できるかは、CTとMRIにより腰椎分離症の病期を確認する必要がある。超初期・初期では癒合率が高く、進行するにつれ癒合率は低下する。(文献中に表で記載)


理学療法では患部の局所的な安静を妨げない事と疼痛を速かに消失させる事が必要である。しかし局所の安静のみでは理学療法は完治しない。椎弓根に頻回なメカニカルストレスが加わっている原因を明確にする事が重要である。


そのためには、解剖学と運動学的知識が必要である。スポーツ動作中の代償的に腰椎伸展・回旋が生じる要因として、腰部の安定性低下、隣接する胸椎、骨盤や股関節の可動性低下と考えられている。胸椎可動性低下による腰椎伸展可動性増大、体幹伸展動作では腸腰筋・大腿四頭筋の柔軟性低下による骨盤後傾不足による腰椎伸展代償、骨盤・股関節の可動性制限による腰椎伸展代償などのによるメカノストレスを生じる。


骨癒合が期待できる場合(輝度変化あり)の理学療法は、競技の中止と装具で固定期間中の骨癒合を妨げない範囲で運動療法を進めていく。骨癒合が期待できない場合(輝度変化なし)の理学療法は、疼痛コントロールを実施し段階的に競技への復帰を目指す。


腰椎分離症は早期に発見し治療を行う事で高率で治る疾患である。骨癒合が得られればほとんどの患者が競技復帰する事ができる。しかし復帰後の再発率が高いとも報告がある。再発防止し、高いパフォーマンスが出来るよう適切な理学療法が必要である。


【面白かった点と感想】


 解剖学や運動学的知識が記載されながら腰椎分離症に対する理学療法の考え方が述べてあり、分かりやすい文献と思いました。文献中に評価方法や運動方法が図として載せてあるのでイメージしやすいです。



【結語】


 成長期で腰痛に苦しむ人は多くいると思います。成長期の腰椎分離症の理学療法を実施する際に心がけておきたい事が分かる内容となっています。また、慢性腰痛に対する知識にもなると思うので是非読んでみてください。

 


記事:琢麻




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