エビデンスを参考にした慢性閉塞性肺疾患患者に対する理学療法の考え方と進め方
河野純子
Journal of Physical Therapy Vol.38 No.7 2021.7 P604-611
【アブストラクト】
1呼吸器疾患の理学療法におけるエビデンスについて
2 COPD患者対する理学療法評価のエビデンスの現状
3 COPD患者対する運動療法のエビデンス状況
4 COPD患者の症例紹介
【基本構造】
呼吸リハビリテーションのガイドラインなどのエビデンスを参照したCOPDに対する理学療法の考え方と進め方が記載。その後、実際の症例紹介が記載。
【文献内容】
COPD患者には呼吸リハビリテーションが有効で、エビデンスやガイドラインを参照しながら評価、治療プログラムの組み立てが必要である。
必須の評価として、①フィジカルアセスメント②スパイロメトリー③胸部単純X線写真④心電図⑤呼吸困難⑥SpO2⑦ADL⑧歩数⑨フィールド歩行試験(6分間歩行試験など)⑩握力⑪栄養評価がある。
呼吸リハビリテーションは、トレーニングを中心としたコンディション、ADLトレーニングを組み合わせ実施する。
運動耐用能、呼吸困難感の改善にはウォーキングやトレッドミルによる全身持久力トレーニングが最も推奨。最大酸素摂取量が60~80%の高強度不可トレーニングと最大酸素摂取量が40~60%低強度負荷トレーニングのどちらも有効。筋力トレーニングはSpO2や呼吸困難評価をしながら1RMの60~80%が推奨。
「運動療法を効率的に行うために身体の応対を整え、運動へのアドヒアランスを高める介入」として呼吸練習、リラクゼーション、胸郭可動域練習、ストレッチなどのコンディショニングを行う。
ADLトレーニングは①ストレッチなどの柔軟性改善を図る調整運動②呼吸困難感を軽減する呼吸トレーニング③道具の使用を含めた生活期の改善を行う。
呼吸器疾患患者に対する苦手意識をもっている人が多い為、エビデンスやガイドラインは大変便利である。しかし患者に対して自施設で出来る事を検討しながらエビデンスを参照することが重要である。
【面白く感じた点と自分の意見】
COPDに対する評価や理学療法の流れが理解しやすい文献と感じました。苦手意識のある方でもエビデンスを踏まえたガイドラインが整備されているため、臨床でも取り入れやすいと思いました。
【結語】
慢性閉塞性肺疾患に対する理学療法に対し苦手意識や取っ付きにくい印象のある方が多いと思います。この文献を読む事で流れを知ることができ、その後呼吸リハビリテーションのガイドラインを読むことで苦手意識が克服出来るかもしれません。
記事:琢麻