理学療法士が知っておくべきチーム医療の基本と組織運営
神戸 晃男
理学療法ジャーナルVol.55 No.9 2021.9 p944-949
【文献の要点】
・医療の高度化、専門化が進むなかで、チーム医療は必要不可欠であり、理学療法士の専門性が求められる。
・カンファレンスの実施によりチーム医療をよりよく進められる。カンファレンスを効率的に実施するためには工夫が必要。
・病棟担当、疾患別チームにはそれぞれのグループでの役割があり、業務と併行することで業務改善が見込まれる。
・管理者は方針や目標に対し人員の確保や配置などを行う役割がある。そのためにも職員とのコミュニケーション、情報交換が重要となる。
・チーム医療の質の向上のために強いリーダーシップ、そして高速化、多様化する社会に対応するための人材教育が重要。
【文献の基本構造】
チーム医療におけるリハビリテーション部門
→チーム医療とは何か、またその中でのリハビリ職の現状を説明。
リハビリテーションカンファレンスの在り方
→日々の業務の中で効率良く多職種とカンファレンスを実施するためには?
病棟担当と疾患別チーム
→病棟担当、疾患別チームでのそれぞれの役割を表に示し説明。
チームの質を向上させるためには?
→マネジメントや組織変革のためのリーダーシップ論について説明。
【著者の伝えたいこと】
・チーム医療において理学療法士の専門性が求められるが、リハビリテーション医療の必要性やリハビリ職の相違の理解が得られていないのが現状である。
・カンファレンスは日々の業務の中で開催しなくてはならないため、事前準備やタスクシフティングが推奨される。
・チームの質の向上のため、マネジメントやリーダーシップが必要となる。またそれらを発揮できる人材育成が求められる。
【文献を読んでみて思う事…】
・チーム医療のなかで各チームに理学療法士をはじめ、リハビリ職が所属している。しかし、理学療法士ではなく、「リハビリの人」として他職種から認識されていることも多く、著者と同様にリハビリ職の相違が十分に理解されていないと感じることも少なくない。
・マネジメントやリーダーシップと聞くと、自分をはじめ若手や中堅の世代は敬遠しがちな部分であると思うが、組織力やチーム力の向上、そのための後輩指導などにおいて必要であると考える。
【まとめ】
・チーム医療の概要を理解し、そしてその中でリハビリ職がどのように関わっていくのか、どのように専門性を出していくのかをチーム力や患者満足度の向上のため考えたい。
・OJTやOff-JTなど人材育成の方法にはいくつか手法がある。人材育成をするためにも、人材育成ができる人材の育成、若手世代から組織やマネジメントの教育が必要と感じる。
若い世代をはじめ、セラピストが増えている今、一人でも多くのセラピストに関心を持って頂きたい。
記事:ながちゃん