嚥下機能に着目した理学療法評価
久保 高明 宮本 明
理学療法ジャーナルVol.57 No.2 2023.2 p150-155
・施設や在宅といった現場では、医学的情報が不足することがあるが、フィジカルアセスメントやスクリーニングにて、問題点の抽出やプログラムの立案は可能となる。
・フィジカルアセスメントでは全身状態やバイタル、表情筋活動、喉頭位置などが重要。
・舌機能や咬合力などの嚥下機能の検査に加え、食形態のマッチング、食事摂取量や運動療法による消費カロリーの把握なども必要。
嚥下機能に着目した理学療法評価、問題点の把握や理学療法プログラムの立案のための評価について述べられている。まず、フィジカルアセスメントについて全身状態や喉頭位置、スクリーニング検査などの評価方法、ポイントを解説している。次に、嚥下機能に対する検査、評価について、舌機能や咬合力、また、理学療法士が提案している評価として喉頭可動性スケール(K-scale)などを解説している。
嚥下機能の評価やスクリーニング検査について、初めて聞くものや名前は知っているが検査の内容、方法までは把握できていないものが多くなると感じた。オーラルディアドコキネシスや反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテストなどのスクリーニング検査などがそうである。本稿で紹介、解説している評価は一部ではあるが、それぞれの評価について、方法や評価のポイントが述べられており、まずは、用語や評価を正しく理解し、実践に繋げたい。
嚥下の分野は言語聴覚士というイメージも強く、スクリーニング検査や嚥下機能の評価内容について知識が不足する部分ではないかと感じる。施設や在宅といった現場において、必ずしも言語聴覚士が所属しているとは限らず、理学療法士も摂食嚥下に関わることも多いのではないか。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成している評価の内容には、理学療法士が普段実施している評価項目も含まれており、運動・解剖・生理学の知識と照らし合わせることで評価も考えやすくなると筆者は述べている。
関節可動域や筋力、姿勢アライメントなどといった理学療法士が得意とする評価に加え、本稿で紹介、解説している嚥下機能に着目したフィジカルアセスメント、嚥下評価の知識から広い視野での評価、アプローチに繋げていきたい。
記事:ながちゃん