足関節骨折に対する理学療法診断の進め方
越野裕太
Journal of Physical Therapy Vol.38 No.3 2021.3 P214-222
【アブストラクト】
1足関節骨折の分類と病態
2足関節骨折の合併症
3足関節骨折の患者に対する診断の進め方
4足関節骨折の患者に対する理学療法診断のポイント
5症例紹介、理学療法の介入効果
【基本構造】
足関節骨折の分類、病態、合併症、理学的検査に関するエビデンスを整理し、理学療法診断のポイントについて説明されている。その後、骨折の重症度、分類、足関節背屈可動域、筋力、JSSFスケール、SAFE-Qの評価に焦点を当て症例紹介をされている流れとなっている。
Danis-Weber分類、Leuge-Hansen分類、Ottawa ankle rules、荷重位の背屈可動域評価、徒手抵抗を加えるブレイクテストが記載。
【著者の言いたいことをまとめてみる】
背屈可動域と疼痛は3ヶ月後の活動制限を予測するために重要なポイントである。背屈可動域は非荷重位で評価されている。
しかし臨床では荷重位で左右差を認めることが臨床上多い。荷重位での足関節背屈可動域を測定することがポイントとなる。
可動域だけてなく、十分な筋機能も重要。術後の固定や免荷により、7週で前脛骨筋と腓腹筋の筋断面積が20〜30%減少、最初の2週間での筋萎縮が著明である。
現在は足関節骨折に対する研究は少なく、エビデンスに基づいた理学療法診断は難しいとされている。現状では運動機能障害に関する情報だけではなく、骨折の病態や外科的治療まで理解する必要がある。今後は運動機能障害の分類や臨床ルールの研究が進められていくことを期待している。
【面白く感じた点と自分の意見】
実際の症例について骨折の分類と必要な評価に焦点を置き紹介されているためイメージしやすい文献であると感じた。
紹介されている荷重位での背屈可動域測定法を覚えておくと良いと思います。
【結語】
骨折の分類と必要な評価が記載されているため、臨床で足関節骨折の経験がなく、これから見ていく必要がある方におすすめな文献ではないかと思います。
記事:琢麻