骨粗鬆症予防のための生活指導における理学療法の活用
水戸奈津美 佐藤綾香 渡邉好孝
Journal of Physical Therapy Vol.38 No.8 2021.8 P730-737
骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)と骨粗鬆症マネージャー
医療法人松田会松田病院におけるOLS
1)骨粗鬆症リエゾン委員会設立までの経緯
2)啓発活動の内容
3)啓発活動の成果
骨粗鬆症予防のための生活指導に活用できるツールの紹介
1)骨密度測定機器
2)骨折リクス評価スケール
3)骨粗鬆症の予防のための啓発資料
骨粗鬆症予防のための生活指導および地域づくりへの理学療法士の関わり
骨粗鬆症予防を目的とした生活指導における理学療法の活用について、事例を紹介しながら実践方法とその結果が紹介されている構造となっています。
骨粗鬆症は骨折のリスクを高め、ADLとQOLの低下や死亡率上昇を招く要因となるため、予防と治療が必要。理学療法の知識と経験が活かせる機会である。
骨粗鬆症予防を目的とした取り組みを効率的に行うには多職種と連携が必要。その実践例として骨粗鬆症リエゾンサービスと骨粗鬆症マネージャーがある。
骨粗鬆症リエゾンサービスは看護師のコーディネーター中心とし、骨折患者を把握、骨折リスクや転倒リスクの評価、必要な患者には治療を実施するシステム。骨粗鬆症マネージャーは日本骨粗鬆症学会が設立した資格で、骨粗鬆症に関する知識と技術を研修したメディカルスタッフ。
理学療法士による骨粗鬆症予防の啓発活動の役割は、転倒リスクの評価と運動指導が重要である。対象者の身体機能を評価し生活様式に合わせたオーダーメイドの運動指導や環境設定が強みとなる。
骨粗鬆症予防のための生活指導に活用できるルーツとして骨折リスク評価ツールと骨粗鬆症の予防のための啓発資料(文献中に図として紹介されている)が挙げられる。
骨粗鬆症予防のための生活指導および地域づくりへの理学療法士の関わりは、運動指導の知識だけでなく、栄養や生活習慣に関する多岐にわたる知識が必要。それに加えて、危険因子や診断方法、疑われる身体所見、骨粗鬆症予防や転倒予防に推奨されるエビデンスの高い運動の知識が必要である。
骨粗鬆症予防のための生活指導における課題として、第一にメディカルスタッフを啓発することである。また、地域において理学療法士による予防的な活動のニーズは高まっているが、経済的な担保がなく、認知度が十分でないことが課題である。
理学療法士がどのように活動の幅を広げているかが実際の事例を交えながら分かりやすく紹介されいる文献だと感じました。生活指導に活用できるツールの紹介もあり、臨床でも活用できると思います。
学生や新人の方でも読みやすい内容です。理学療法士として活動の幅を広げたい方には是非読んで頂きたい文献となっています。
記事:琢麻