成長期の運動器の特性とスポーツ障害の特徴
尾藤晴彦
Journal of Physical Therapy Vol.38 No.9 2021.9 P 772-777
成長期の運動器の特性
1)骨端線、骨端部
2)関節軟骨
3)骨幹部
4)筋、腱
成長期運動機能の実態
成長期スポーツ障害の特徴
1)骨端症
2)骨端線離開
3)離断性骨軟骨炎
4)疲労骨折
成長期スポーツ障害の要因、治療、予防
成長期の運動器の特性に起因した運動器障害が生じる。成長期の運動器の特性を紹介した後、特性に起因するスポート障害の特徴が記載されている文献です。
成長期とは女子は小学校高等学年〜中学生、男性中学校〜高校生頃を指す。この時期はクラブ活動参加など運動負荷が増加する時期であり、スポーツ障害が起こりやすい。
成長期の長管骨の骨端部は、軟骨成分が多く、骨成分が乏しいため力学的に脆弱であり、成長期スポーツ障害を起こしやすい部分。幼若ブタ関節軟骨結合部での剥離が起こりやすく、離断性軟骨炎症で起こる閉鎖型軟骨損傷の発生に関与。成長期では骨密度が一時期的に
低下する。疲労骨折は10代前半から認め、16歳頃で発生のピークとなる。性差で脛骨は女子におおく、腰椎は男性に多い。筋・腱は相対的に緊張の高い状態となり、全身のタイトネスがスポーツ障害の原因とある。
成長期の主なスポーツ障害として、骨端症、骨端線離開、離断性骨軟骨炎症、疲労骨折などがある。骨端症は成長期では牽引型骨端症が多い。強度の弱い骨端部に付着した腱・靭帯から繰り返し牽引力により微細な外傷が生じる。
骨端線離開は牽引型骨端症と同様に、骨端線に筋・腱・靭帯の慢性的な牽引力が加わり離開が生じる。離断性骨軟骨炎はスポーツ動作で繰り返し圧迫、剪断力により、関節軟骨下に血流障害が起こり、骨壊死が起こり軟骨骨片が母床から解離する。疲労骨折は骨強度が弱く、繰り返し外力により起こる。
成長期の代表的な疲労骨折の例は、長管骨疲労骨折、腰椎分離症がある。
成長期のスポーツ障害は内的要因と外的要因がある。内的要因は成長関連因子、傷害歴、過去のコンディショニングレベル、解剖学的因子、月経傷害、選手特有の心理的・発達的因子がある。
外的因子はトレーニング負荷、練習と競技スケジュール、装備/装具、環境、種目特有のテクニック、大人や周囲の心理的因子がある。外的因子は医療者のアドバイスがもとめれる。
成長期のスポーツ障害の治療としてリハビリを中心とした保存療法が多い。安静期間をいたずらに設けるのでなく、全身的に評価したうえ上で課題を明確にし、リハビリの重要性を理解させることで復帰に向けてモチベーションを維持させることが必要。
外的要因についてはアセスメントを行い、練習量や強度をアドバイスすることが大切。
成長期における運動器の特徴とそれに伴うスポーツ障害について分かりやすく記載されている文献だと感じました。小学生男女の運動器機能の健診結果が記載されており、面白い結果となっていると感じました。
学生時代にスポーツをしていた人は多くいると思います。スポーツに頑張って取り組むがスポーツ障害に苦しんで部活を休んだり、試合に出れなかった経験をした人も多いのではないですか。同じ思いをさせないためにも成長期の学生達にアドバイスできるよう知っておきたい知識が記載さ得れている文献です。
記事:琢麻