ACP(Advance Care Planning;アドバンス・ケア・プランニング)より豊かな医療者-患者関係を築くための実践のすすめ

(231215配信)

ACP(Advance Care Planning;アドバンス・ケア・プランニング)

より豊かな医療者-患者関係を築くための実践のすすめ

木澤 義之

理学療法ジャーナルVol.57 No.10 2023.10 p1160-1164



【文献の要点】


・ACPとは病状の経過に備えて、本人の価値観を今後の治療、ケアに反映させるための話し合いのこと。

・強制はせず、本人の準備状態や背景に合わせてタイミングや内容を検討する。

・人生の最終段階における意向を患者、家族が事前に話し合う機会となる。

・ACPを行う上で重要な点は、患者の病識の把握、価値観を探る、価値観に沿った治療やケアの提案である。



【文献の基本構造】


 本稿でははじめにACP(Advance Care Planning;アドバンス・ケア・プランニング)という言葉について定義から解説している。次に、ACPとアドバンス・ディレクティブ(AD)、リビングウィル(LW)といった類似する言葉との違い、また、ADでは不十分であった点が見直され、ACPとなる経緯を述べている。


そして、ACPが必要な理由、メリットとデメリット、さいごには筆者が実際に実践しているACPの流れを図に示しながら解説している。



【ACPの進め方、ACPをはじめるにあたって】


患者の病状の認識はどうか


現在の病状、今後の経過を共有する。そして、これからの治療やケアなどについての話し合いをしたいということを、本人に了承を得る。


価値観を探る


今後の治療やケアについて、大切にしたいことや支えとなるもの、不安に感じること、これだけは自分の人生において譲れないもの、こだわりなどを聴取する。


価値観に沿った治療やケアの提案

本人のこれからの治療やケアに対する希望を家族らと共有する

筆者はこの①~③の3つが重要としており、これからACPを進める、はじめるにあたりポイントとしている。



【まとめ】


 皆さんはACPという言葉を聞いたことがあっただろうか。恥ずかしながら自分自身は初めて聞く言葉であった。


本稿では、ACPの定義から、ACPの考え方が必要な理由やメリットとデメリット、ACPの実践・進め方までを解説しており、自分のように初めて聞く方でも内容を理解することができる文献となっている。


 今後、どのような治療やケアを望んでいるのかを意思決定が難しくなる前に話し合いを行うことは、より患者の人生に寄り添いながら治療、ケアを進めることができると考えられ、重要なことだと思う。


また、理学療法士が理学療法を進めていくにあたっても、ゴールや理学療法アプローチなどについて話し合うことは皆が実施していることとだろう。


しかし、ACPでは本人の価値観を探り話し合いを行うため、より十分な信頼関係の構築が重要となる。


本稿でも述べているようにメリットもあればデメリットもあるため、話し合いの内容やタイミングには注意し実践に移行したい。



記事:ながちゃん


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