サルコペニアとリハビリテーション栄養学
若林秀隆
Journal of Physical Therapy Vol.38 No.11 2021.11 P 969-977
【アブストラクト】
リハビリテーション栄養学
サルコペニアの原因と医原性サルコペニア
栄養のゴール設定
攻める栄養療法
サルコペニアの摂食嚥下障害、サルコペニア肥満
呼吸筋サルコペニア、サルコペニア性呼吸障害
【構成】
サルコペニアには加齢によるものだけでなく、低活動、低栄養、疾患、医原性によるものがある。サルコペニアにはその原因に見合った対応が重要であり、リハビリテーション栄養学の視点が有用である。
リハ栄養学、医原性サルコペニア、栄養のゴール設定、攻める栄養学、サルコペニアの摂食嚥下障害、呼吸筋サルコペニア、サルコペニア性呼吸障害、サルコペニア肥満について述べてある文献です。
【内容】
リハ栄養学とは全人的評価と、栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、診断、ゴール設定を行った上で、フレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養摂取・フレイルを改善し、機能・活動・生活の質を最大限高める「リハから見た栄養」や「栄養から見たリハ」である。
医原性サルコペニアとは、病院で不適切な安静や禁食、病院での不適切な栄養管理、医原性疾患などによるサルコペニアである。早期離床、経口摂取により予防が重要。
リハ栄養学のゴール設定が重要である。最も重要な栄養のゴールは生活機能とQOLである。1日エネルギー必要量の計算時は、体重を基準値とする。生活機能QOLを真の栄養のゴール、体重を中間的な栄養のゴールと考える。
攻める栄養療法とは1日のエネルギー消費量だけでなく、エネルギー蓄積量を考慮し、エネルギー量を設定する栄養管理方法である。
サルコペニアの嚥下障害とは、誤嚥性肺炎患者では「とりあえず安静や禁食」といった不適切な栄養管理により、入院後摂食嚥下障害が発症する事である。サルコペニア肥満とはサルコペニアと肥満が合併した病態である。筋量減少+筋力低下した肥満患者である。
呼吸サルコペニアは、全身のサルコペニアと呼吸筋量減少・呼吸筋力低下・呼吸呼吸機能低下を認めた状態である。サルコペニア呼吸障害は呼吸サルコペニアが原因で呼吸機能が悪化したことによる生活機能障害である。
サルコペニアの原因に見合った対応が必要であり、四肢や体幹の筋力だけでなく嚥下関連筋や呼吸筋などにも視点を持つ事が重要である。
【面白かった点と感想】
リハ栄養について体重を基準としたゴール設定や栄養療法が分かりやすく記載されている文献だと思いました。サルコペニアに対して、嚥下や呼吸の視点を学ぶ事ができる良い文献だと思います。
【結語】
入院中にサルコペニアである患者は多く経験するのではないかと思います。効果的なリハビリテーションにするため、栄養学は大事な視点です。是非読んでもらいたい文献です。
記事:琢麻