Key word
:新人教育、コンピテンシー基盤型教育、学習者評価、学習する組織
医師をはじめとする看護師や理学療法士などの医療職種の教育制度は、制度導入以降から改正を繰り返し現在に至る。
医学教育においては「独り立ち」することが修了時の姿として描かれている。この独り立ちのためには卒前教育のみでは不十分で、臨床能力を身に付けることが求められる。
この臨書能力はどのように身に付き、どのように評価されるのだろうか。
2008年、スキル発達の段階的モデルを医師のコンピテンスに適用した論文にて、初心者は臨床実習開始時、研修中は臨床研修開始時、独り立ちは臨床研修修了時として描かれた。
2010年にはこういった「コンピテンシー(行動目標)基盤型教育」が注目され、より密な指導、学習者評価を行う方向へと舵が切られた。
2005年には具体的な評価のためにはコンピテンシーが細かくなりすぎるため、“鍵になる業務活動が監督なしでできそうなレベルかどうか”によって臨床能力を評価するEntrustable Professional Activities (EPA)という概念を唱えられた。
EPAは、修了の認定を受けた者は専門職としての活動が監督なしで実行できることを表す。つまりスキル発達段階における「独り立ち」を指している。
新人教育では臨床研修のみでなく、働く上での必要最低限の知識やマニュアルを説明することで職場内の人間関係構築や離職予防に働きかける意味合いもある。
とりわけ、離職に関しては先輩との関係性が最も頻繁に議論されているテーマである。先輩・後輩の上下関係と考えを言い合える関係の構築を促す上司の存在が非常に重要である。
入職1~2年目など、分からないことが多く何から勉強したら良いか、何を目標にしたら良いか分からない新人が多い印象である。卒後教育においては先輩がプリセプターとして付くことが多く、その先輩が新人の到達レベルを評価し学習・行動目標(最終的には独り立ち)を達成するための助言を適宜行うことが重要であると感じた。
その流れをスムースに行うためにも、卒前教育修了時の評価を卒後に反映させることも今後の課題となり得ると思われる。
記事:てつ@永遠の若手理学療法士