産前女性への理学療法アプローチ

(220508配信)

産前女性への理学療法アプローチ

須永 康代

理学療法ジャーナルVol.56 No.4 2022.4 p455-458


【文献の要点】


・妊娠中には姿勢や骨盤帯など身体に様々な変化が生じる。

・腰背部や骨盤帯の疼痛の原因は、姿勢の変化と骨盤帯の不安定性の2つに分けられる。

・妊婦の尿失禁予防には骨盤底筋群トレーニングが推奨される。



【文献の基本構造】


 妊娠中の身体的な変化として、姿勢、骨盤帯、骨盤底筋群、腹直筋におけるそれぞれの変化を説明している。また、腰背部や骨盤帯の疼痛、骨盤底機能不全に対する理学療法アプローチを解説している。



【妊娠中の身体的変化】


・姿勢:骨盤の前傾、Sway-back姿勢


 胎児の成長に伴い腹部が前方へ突出、質量中心も前方へ変位するため骨盤は前傾する。また日本人の身体の特徴からもSway-back姿勢をとりやすい。


・骨盤帯:靱帯の弛緩性増大、不安定性


 ホルモン分泌の変化により骨盤、その周囲の関節の靱帯の弛緩性に関与するホルモンの分泌量が増加する。靱帯の弛緩性や恥骨結合部が1㎝程度開くといわれることから不安定性を生じる要因となる。


・骨盤底筋群:尿失禁のリスクの増大


 子宮の重みで骨盤底筋群に負荷がかかり、骨盤底筋群が脆弱化すると尿失禁のリスクが増大する。


・腹直筋:腹直筋の離開


 約3割の妊婦に発生するという報告がある。腹壁の拡張により腹直筋は伸張されることで離開が生じ、腰背部の疼痛の原因となり得る。



【まとめ】


 本稿では妊娠中における姿勢や筋と身体的な変化や腰背部や骨盤帯の疼痛と尿失禁予防に対する理学療法アプローチを解説している。


日本理学療法士協会でも平成27年に日本理学療法士学会の下部組織として「ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法分野」を新設しており、重要な理学療法領域としても位置付けられている。


妊娠、出産に伴い、身体では様々な変化が生じるため、産前・産後などウィメンズヘルス分野での理学療法士の活躍が期待される。



記事:ながちゃん


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