産前女性への理学療法アプローチ2

(220513配信)

産後女性への理学療法アプローチ

平元 奈津子

理学療法ジャーナルVol.56 No.4 2022.4 p 459-463



【文献の要点】


・産後は妊娠から育児による身体機能や体力の低下、疲労などにより身体症状の悪化がみられる。

・産後は筋骨格系、またそれに伴い姿勢の変化が生じやすい。

・腰部や骨盤帯の疼痛、腹直筋離開、腹圧性尿失禁などに対して理学療法介入の効果が期待できる。

・出産、育児による低下した身体機能に対する介入、また次の妊娠、出産に向けた身体作りと女性のライフステージに合わせた介入が望まれる。



【文献の基本構造】


 妊娠により腹筋群が伸張されることで収縮効率の低下や帝王切開による腹部への侵襲による機能低下など筋骨格系の変化、姿勢の変化から説明。次に身体的な変化に伴う問題について、理学療法介入の効果が期待できるものを取り上げ説明している。最後に、産後の女性に対して積極的な理学療法の介入が望ましい3つの点から、ホームエクササイズや動作指導を踏まえて解説している。



【産後女性に対する理学療法の考え方】


身体機能の回復


インナーユニットを含む体幹機能の評価を十分に行うとあるが、帝王切開の割合が増えていることや、妊娠による腹筋群の伸長による機能低下、腹直筋離開などもみられやすいことからも評価の必要性があると考えられる。



身体症状の治療


腰痛や腹圧性尿失禁などの身体症状に対しては、一般的な運動器疾患への対応と同じである。表に示している妊娠や出産の経過など産後の女性に必要な問診、聴取項目を把握することが重要。



動作指導


 授乳や抱っこでは非対称な姿勢となることが多く、身体的な負担となりやすい。負担を軽減するための動作や姿勢の指導について解説している。



【まとめ】


 産後の問題としてみられる、姿勢の変化やそれに伴う腰痛、また腹圧性尿失禁などの身体症状は産後に限られたものではない。本稿でもそれらに対する理学療法は一般的な運動器疾患への理学療法に準ずると述べている。授乳や抱っこにおいても姿勢、アライメントが身体への負荷を軽減させるためには重要と述べられており、運動器疾患や姿勢、アライメントへの介入は理学療法の専門的な部分といえるだろう。


その中で、本稿の表で示されている産後女性への問診項目を参考に、妊娠や出産に伴う身体的な変化や、その女性の置かれる状況などを理解することが必要と考える。産前から産後の身体の回復や負担の軽減など理学療法士として専門的な介入が期待される。



記事:ながちゃん



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