脊椎圧迫骨折の疾患概要と疫学

(230113配信)

脊椎圧迫骨折の疾患概要と疫学

木村 鷹介

理学療法ジャーナルVol.56 No.12 2022.12 p1394-1402



【文献の要点】


・脊椎圧迫骨折は高齢者に多発する骨折であり、高齢になるにつれて有病率も高くなる。

・骨粗鬆症を有している場合、日常生活での軽微な衝撃でも容易に生じる可能性がある。

・不安定性や神経障害を認める場合は、椎体形成術やバルーンカイフォプラスティー(balloon kyphoplasty:BKP)などが代表的な手術療法である。

・情報収集から適切なリスク管理、介入に繋げる。



【文献の基本構造】

 脊椎圧迫骨折の概要から、本邦での疫学、発生機序、分類、治療方法、予後、リスク因子について、理学療法などを実施する上での必要な情報を述べている。最後に、理学療法をする上で必要な情報収集について解説している。



【情報収集の工夫】


〇既往歴

 →高齢者の既往歴は多数存在することが多い。骨粗鬆症や悪性腫瘍など直接的に骨へ影響するものから、過去の転倒歴や脳血管疾患、パーキンソン病などといった転倒リスクを高め、骨折へ繋がるものまで幅広く確認する必要がある。


〇血液・尿検査

 →ビタミンD、Kやカルシウム、骨代謝マーカーなどを確認する。


〇画像所見

 →椎体の形状、変形、特に椎体後壁の損傷を確認する。広範囲の低信号領域がみられる場合は偽関節などのリスクが高くなるという報告もあるため注意が必要。


〇骨密度

 →骨粗鬆症、骨密度の低下は主要な要因の一つ。Tスコアやyoung adult mean(YAM)値を確認する。



【まとめ】


 脊椎圧迫骨折は高齢者に多発する骨折であり、高齢化が進むなかでその数はさらに増加すると考えられる。脊椎圧迫骨折受傷後はもちろん、既往を有する高齢者も多く、病院や施設、急性期から生活期までどんな現場でも関わることがある。


受傷後は臥床・安静期から離床期と主治医と連携し安静度や運動強度などを検討、回復期や既往を有する際は再骨折のリスク軽減、リスク管理といった点が重要となると考える。本稿ではリスク因子として、転倒・転落、骨強度の低下という2つを挙げている。


脊椎圧迫骨折受傷後の症例、また既往を有する症例など、それぞれの症例にどんなリスク因子があるのか、受傷や再発するリスクを高める要因となるものは何かを情報収集などから把握し対応していくことが重要であると感じる。


また、本稿より骨粗鬆症を有する場合、骨密度が正常な場合と比較して約1/3の衝撃しか耐えれないという研究結果があると記載されている。日常生活内においても容易に骨折するリスクがあると思うとともに、日常生活動作指導においても重要なポイントとなると考える。




記事:ながちゃん

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