理学療法士のタッチと癒し効果

(20211217配信)

理学療法士のタッチと癒し効果

山口 創

理学療法ジャーナルVol.55 No.10 2021.10 p1061-1066



【文献の要点】


・タッチは心身へ大きな影響を与えるが、科学技術が発展していく現在の医療現場ではその頻度が減少している。

・看護師はリラクゼーションや不安の軽減、理学療法士は心身機能の改善のためとタッチの意図は職種で異なっている。

・タッチは身体への介入であるが、効果を期待するためには心理的な配慮が欠かせない。

・タッチによりオキシトシンが分泌され、オキシトシンは不安やストレスの軽減などの作用を持つ。



【文献の基本構造】


職種によるタッチの違い

 →職種によるタッチの意図の違いを研究結果から説明。


タッチをするうえで必要なこと

 →研究を紹介し説明、また理学療法士として必要なこととは?


タッチする以前に…

 →身体へ接触する前に必要なこととは?


オキシトシン

 →タッチにより分泌されるオキシトシンの作用、効果を説明。



【著者の伝えたいこと】


・タッチは身体への介入であるが、心理的な配慮ない と十分な効果は期待できない。

・理学療法士としてタッチから対象者の心身への気づき、そして介入の目的を共有することが必要である。

・タッチは侵襲的な刺激とも言えるため、タッチをする以前に十分な信頼関係の構築が重要。

・オキシトシンには不安やストレスの軽減などに加え、相手との同調を促す役割を持つ。



【文献を読んでみて思うこと】


普段の仕事のなかで患者や利用者の骨や関節、筋に触れるという意識は持っているが、それが当たり前となり、相手の身体へ触れているという意識が疎かになってはいなかっただろうかと改めて日々の仕事を見直す機会となった。タッチは相手の不安やストレス、筋緊張の緩和など心身へ影響を与える。治療効果を高めるためにも、タッチの仕方や対象者との関係性の構築、コミュニケーションを考え直したいと感じた。



【まとめ】

 セラピストにとって対象者へタッチ、触れるということは、治療をはじめ、評価や介助をする上で必要不可欠である。そのタッチをどう考えているだろうか。治療するため、評価するためだけと思っていないだろか。タッチにおける効果を理解し、理学療法士、セラピストとしてのタッチの意味を考える機会としてほしい。セラピストにとっては技術や手技も欠かせない要素であるが、まずは人に触れているということを念頭に、日々の仕事にあたりたい。




記事:ながちゃん


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