日常生活にかかわる動作分析
藤澤 宏幸
理学療法ジャーナルVol.56 No.5 2022.5 p548-554
・動作分析を行う目的は動作から機能不全を推測すること。
・動作分析の重要なポイントは定型性からの逸脱をみることである。
・臨床における動作分析は日常動作分析と特定課題分析に分けられ、組み合わせて考えることでより効率的に機能不全の推測が行える。
はじめに動作分析の基本的な考え方、動作分析のポイント、視点を説明している。次に、筆者は動作分析を日常動作分析と特定課題分析と分類しており、それぞれについて説明している。そして、起き上がり、立ち上がり、歩行動作の動作分析を実際の症例から動作分析の考え方、手順を説明している。
日常動作分析とは、起き上がりや立ち上がり、歩行といった日常生活の中で頻回に行う動作を観察すること。特定課題分析はより焦点を絞って運動機能を評価する方法である。
日常動作分析を行う手順としては、まず対象の動作が定型性から逸脱しているかどうかを確認する。しかし、健常者でも様々な運動パターンが存在するため、対象者が健常者の多くとる運動パターンを行えるかどうか、対象者が行った動作を健常者が行って同じ運動パターンとなるのかを確認し、機能不全の有無を判断していく。
日常動作分析、特定課題分析の考え方を起き上がり、立ち上がり、歩行を例に挙げ、説明している。
動作観察、動作分析は理学療法士にとって重要な評価であることは言うまでもない。本稿では動作分析のポイント、視点の説明から述べている。
そして、起き上がり、立ち上がり、歩行の3つの動作から日常動作分析、特定課題分析の考え方を実際の症例をもとに説明しているため、自分自身が行う臨床場面にも活用しやすいのではないかと考える。
日常動作分析、特定課題分析の考え方を活用し、機能不全を推測するため、まずは動作の定型性、健常者の運動パターンを理解するところからあたりたい。
記事:ながちゃん