パーキンソン病および類縁疾患と筋力
清水 裕斗 菊池 豊
理学療法ジャーナルVol.56 No.3 2022.3 p 307-319
・パーキンソン病患者の約7割に筋力低下を認め、Hoehn&Yahr重症度分類が高いほど、その確率は高くなる。
・パーキンソン病では速度依存性の筋力低下が生じやすい。
・パーキンソン病の筋力低下の機序は、中枢性、末梢性、加齢性の3つの要因から考えられる。
・筋力評価では、サブタイプや収縮様式、服薬などを考慮する必要がある。
・筋力の向上のためには、レジスタンストレーニングに加えて栄養管理も重要である。
パーキンソン病と筋力低下の特徴、筋力低下が生じる要因、機序を中枢性、末梢性、加齢性と3つに分け、それぞれ解説している。次に、パーキンソン病における筋力評価について述べている。評価の留意点を3つ挙げ、症例を紹介し解説している。最後に、介入方法としてレジスタンストレーニングと栄養面から解説している。
〇評価の留意点
①サブタイプの把握
②収縮様式や角速度など
③服薬の3つの点を考慮する。
またパーキンソン病の筋力低下の要因は1つではなく、複数の要因が関与してくると考えられている。上記でも書いている中枢性、末梢性、加齢性の要因、また廃用性の要因をそれぞれ評価することが望ましいとされるが、定まった評価方法が確立しているものが少ないのが現状である。
〇介入方法
プログレッシブ・レジスタンス・トレーニング(PRT)が筋力向上に有効とされている。歩行やバランス機能に対する効果は明確となっておらず、PRTとその他の運動など総合的な介入が必要であるとされる。
また、パーキンソン病は栄養障害を生じやすいため、エネルギー消費量が増加し摂取量が減少してしまうことも多い。筋力の向上のためには、レジスタンストレーニングを含めた運動療法に加え、栄養面の管理も同時に行うことが重要となる。
パーキンソン病は高齢になるほど有病率や発病率は高くなり、高齢化が進むなかで患者数も多くなることが予測され、臨床現場でも関わることが多い疾患の1つではないだろうか。
また4大症状に加え、筋力低下もパーキンソン病の固有の問題として生じると報告され近年注目されており、ADLや転倒リスクに繋がることなどからも理学療法の役割、必要性は高いと考える。
評価など確立されていないものもあり、今後の課題となっているが、本稿にてパーキンソン病における筋力低下の特徴から発生機序、評価と介入方法の留意点の理解に繋げて頂きたい。
記事:ながちゃん