加齢に伴う膝関節の変化
青山朋樹 松田秀一
理学療法37巻6号2020年6月P545-551
加齢に伴う膝関節の変化を解剖学や運動学の視点からMRI画像を含めて説明している.
「はじめに」にて変形性膝関節症が「関節軟骨の変性による菲薄化を最大の特徴としている」とパンチのある文章から始まり,構造,組織の変化,骨の変化,下肢アライメントの変化を説明している.
関節軟骨の構造に関して図を用いて説明しており,正常と変形性膝関節症の関節軟骨を比較して図式化されているのは,この文献の読みどころだと思う.
関節軟骨の厚さ(硝子軟骨によって構成)
大腿骨内顆 2.4±0.4㎜
脛骨内側高原 3±0.4㎜
初期変化をレントゲンで追うことは難しいものの,MRIでは早期より関節な構造組織の変化が確認でき,図3で実際の画像を基に説明している.軟骨の変性に加えて周囲組織の変性が引き起こされているのがわかりやすい.
・硝子軟骨の特徴
通常は均質無構造な組織だが,層構造をとっている
表層,中間層,深層,石灰化層に分かれ,深部の軟骨下骨と呼ばれる骨組織と結合している.
:詳細は本文を読んで欲しいものの中間層でのコラーゲンネットワークとプロテオグリカンの間の水分が豊富で,圧迫力に対する抵抗や衝撃吸収能力を有する.変形性膝関節症となると保水性が保てなくなり衝撃吸収量が低下するという文章は,端的で非常にわかりやすい.
・変形性膝関節症を有する日本人高齢者の経過
約3年で21%強の方がKLグレードの進行,疼痛の増悪がみられる
:軟骨構造や骨構造の破綻が進行性の変化に繋がっているのは明らかながら,加齢による変化に加えて,療法士として患者の体重や環境面を同時に評価し,対策を立てなければならないと改めて感じる.
膝関節は股関節と足関節の間で正に重力下での重要関節部であることは間違いないと思う.青山氏も本文中に述べているが,下肢のアライメント考えるうえで,膝・股・足と単独で考えるのではなく,各部を理解したうえで連動して動く事を理解し想像する必要性を強く感じる.
記事:ひわ