整形外科疾患-慢性疼痛

(20211114配信)

入門講座:整形外科疾患-慢性疼痛

稲熊成憲,許山勝弘,大島伸雄

総合リハビリテーション Vol.49 No.7 2021.7 pp671-678


Key word:整形外科疾患,慢性疼痛,認知行動療法,レジリエンス



★今回の記事はこんな方にオススメ!

・担当患者さんの疼痛が遷延している方

・慢性疼痛に対する治療のヒントが欲しい方

・認知行動療法の理解を深めたい方




こんにちは!ストレスチェックでほぼストレスフリーと診断された‘テツ’です!

今回は慢性疼痛への認知行動療法の意義や具体的技法について述べられた記事を紹介します。


整形外科領域においてしばしば見られるのが、痛みや活動制限、不安に対する負の感情です。この感情は痛み・行動制限などの「苦痛」、怒り・不安などの「苦悩」を合わせたものであり、患者が抱える現実的課題と言えます。

認知行動療法はこの「苦悩」に対して有効とされています。

我々セラピストが整形外科疾患患者に対応する際、患者自身が疼痛を始めとする症状の原因を理解できていないと感じることはないでしょうか? それが今回で言うところの「苦悩」に繋がります。



【慢性疼痛とは?】

慢性疼痛は、3か月を超えて持続または再発するもの、または急性組織損傷の回復後1か月を超えて持続する痛みと定義されることが多いです。

痛みの要因は様々で、①侵害受容性疼痛、②神経障害性疼痛、③非器質的疼痛に分けられおり、慢性疼痛に関してはそれらに加え、心理社会的要因も含まれ非常に複雑なものとなっています。



【特徴と治療】

次に、実際の認知行動療法の具体的手法を紹介する前に、慢性疼痛患者の特徴について見てみましょう。

慢性疼痛患者は長期間にわたり痛みに悩むことかで抑うつや不安、社会活動の減少、QOLの低下など痛み以外にも様々な症状・徴候が引き起こされます。長期化の要因として知られるのが「破局的思考」と呼ばれるもので、痛みへの偏った考え方がそれらの症状を悪循環に陥りやすいのです。


では、実際に治療について見ていきます。

慢性疼痛に対する認知行動療法については、痛みの強さ、抑うつ症状、QOL、生活障害、の改善に効果が認められています。非常に有効な治療法でありますが、本邦では認知行動療法を実践している割合は10%に満たない状況です。認知行動療法と聞くと何をしたら良いのか分からない・・・と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、痛みに対して認知行動療法に基づいたアプローチを行うことは効果の面から見ても重要と言えます。



【認知行動療法の応用の仕方】

元記事には実際の症例を提示されています。

その症例では、痛みに対して固執する面があり、「体重をかけたら傷が開きそう」という不安により患肢への荷重を回避するために、「荷重をかけても傷が開かない」、「この足で支えられる」という経験をすることができていません。

この状況に対し、段階的に荷重を促すことで不安を軽減するのと同時に、毎日のリハビリの内容と痛みの状態を記録しセルフモニタリングを促しています。


今回の症例では、不安に対する対策方法を提示することで痛みの回避を解決し、患者自身の不安軽減につなげることが出来ているのですね。



【Impressions】

認知行動療法については詳しく知らないけど、これを見てみて「こういう経験ならしたことがある」と感じる方も多いのではないでしょうか? 認知行動療法では痛みや不安を軽減させるために患者を取り巻く状況を概念化させるとより理解が進みそうです。

加えて、慢性化を予防するためにも患者とコミュニケーションを図りながら、本人のキャラクターに合わせた教育的介入もセラピストに求められるスキルであると感じました。



●明日からできること!

・まずはコミュニケーション!患者のキャラクターをしっかりと把握する。

(破局的思考があるのかどうか)

・不安に思っている部分を明確にし、対応策を提案する。


記事:テツ@永遠の若手理学療法士




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