がん終末期緩和ケアと理学療法

(220408配信)

がん終末期緩和ケアと理学療法

1.チーム医療のなかで理学療法士が担う役割と姿勢

林 邦夫

理学療法ジャーナルVol.55 No.8 2021.8 p879-882



【文献の要点】


・終末期といっても基本的には理学療法士、専門職としての役割に変わりはない。

・スピリチュアルケア、スピリチュアルペインの理解を深め寄り添う。

・終末期において、リスク管理は行うが中止基準は設けない。

・患者や家族、医療者側にもネガティブ・ケイパビリティが求められる。



【文献の基本構造】


 終末期における理学療法士の役割は何だろうか。看取りや在宅生活など各方向性での役割、専門職としての役割はもちろん、スピリチュアルケアという関わり方について説明している。そして、終末期リハビリテーションのコツとして、最期までの関わり方をリスク管理や中止基準の観点、ネガティブ・ケイパビリティの考え方、ゴール設定について、患者家族への調査結果などを交えて解説している。



【最期までの関わり方】


終末期においても基本的に中止基準は設けない。患者家族の多くは最期までの関わりを希望している。本人や家族の思いを聞きながら、病期の進行によりリハビリテーションの継続が困難となった状態でも、訪室し声かけだけでも行うことが、存在を承認するというスピリチュアルケア、家族やセラピスト自身のグリーフケアとなる。



【ネガティブ・ケイパビリティとは】


 帚木蓬生によると「答えのない事態に耐える力」とあり、患者やその家族、医療者それぞれに求められる力である。セラピスト養成校では問題解決力や技術を求める傾向にあるが、がんの終末期や難病の患者などに対しては、問題解決ばかりを求め過ぎず、傍にいる、関わりを続けていくという考え方が必要である。



【まとめ】


 終末期にあたりゴール設定をどうするのか、どういった関りをするべきなのか悩むポイントではないかと思う。本稿でも声かけでも関わりを継続してほしいと患者家族の多くは願っていると紹介されている。1日1日その日にできることを考え、患者が自身の存在を承認できるよう、本人や家族の思いを傾聴し、可能な限り関わりを続けることが求められている。




記事:ながちゃん


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